単純な生活 / 気がつけば本を読んでいる

読書日記、ときどきブックガイド、的な。

腰痛欠勤と大火傷する文章

 

 いつも通り5時に起き、いつものように珈琲を淹れようとするも、腰が痛くていつものようには動けず、いろいろとやる気も失せて(元々そんなにやる気はないのだが)、けっきょく仕事は休むことにする。今年の有給はすでに使い切っているので、日雇いの身としては、ちょっと厳しいのであるが。

 

 で、シップを貼ってロキソニン。どちらもあまり効かないのである。

 職場の同僚に腰痛持ちがいて、その人は腰が痛くなると、ロキソニンをいちどに1シート(6錠)飲んでいる。「でも、効かねぇんだよなあ」とか言ってる。効かないのなら飲むのをやめたほうが良くないかと聞いたら、「気休めにはなる」とのことで、わたしも気休めに2錠ほど飲むのである。気休めと言うより、“希望”かな。ひょっとしたら効いてくれるかも知れない、というかすかな“希望”。

 

 

『読書の日記 / 阿久津隆』の続きを読む。

 この人の文章には独特のリズムがあって好きだなあ。たとえば…

  それでほくほくしながら喫茶店に入った。すると落ち着かなかった。イライラしてきた。三十分かそこらいて、多分一時間もいなくて、違和を感じながらも『満ちみてる生』のたしか一章だけ読んで、その読書はとてもよくて、ずっと読んでいたいと思って、この「ずっと読んでいたい」から察するに今日中に読み終えてしまいそうだと思って、餃子屋に行ってまた別のところに行こうかと思って、喫茶店を出て、東京堂書店に戻って、パトシリア・ハイスミスの『アメリカの友人』を買って、餃子屋に行きたいけれどさっき食べたケーキがお腹で重くて満腹感があって、だからまたいつかにしようと思って店の前を通ったら店休日で安心というか「何も損をしなかった」と思えて、雨がさっきより強く降っていて、電車に乗って、『移動祝祭日』を開いた。いい。 ~p.91

 あるいは、次のような文章。

 雨宮まみの訃報に接して、エッセイをまた読みたいので雨宮まみの何かを読もうと昨日考えていたところだったので、ので、ではなく、悲しかった。 ~p.95

 文章の先生から、思いっきり添削されそうな文章だけど、しかし、これをきれいに直したら、これを読んで伝わってくる著者の感情のようなものは、添削と同時になくなるような気がする。いや、確実に消滅する。

  しかし、このような文体は下手に真似すると(真似などできないけど)大火傷するので、ぜったい真似はしない。

 

 『ブレーメンバス / 柏葉幸子』(講談社)を読み終わる。全11編の短編集。ジャンル的には児童文学になるんだろうけど、子供だけに読ませておくにはもったいない。活字が大きいので老眼にも優しい。

 

 昼食(大豆ミートで作ったキーマカレー)のあと、2時間ほど昼寝。目覚めたら腰が少し良くなっているような気がしたのだが、起き上がって動いてみるとたいして良くなってなかった。ちっ。

 でも、明日から仕事だし、少しは歩いておくかなと思い、近くの(歩いて5分の)図書館へ本を返しに行く。街を歩いている人が皆颯爽と歩いているように見える。皆しっかりと背中が伸びているではないか。いいなあ、腰痛くなくて…。

 4冊返して、5冊借りて帰る。

 

 借りてきた『人生は彼女の腹筋 / 駒沢敏器』(小学館)を読み始める。

人生は彼女の腹筋

人生は彼女の腹筋

 

 著者は、2012年に亡くなっていて(亡くなり方がショッキングだったので覚えている)、これは死後発刊された短編集。6編入っている。半分の3編を読む。

 もっと生きて、もっとたくさん書いてほしかったと思わせるような作家だ。

 

 夕食は、お好み焼き。2枚食べる。

 

 食後、『三千円の使いかた / 原田ひ香』(中央公論新社)を読む。

三千円の使いかた (単行本)

三千円の使いかた (単行本)

 

 御厨家の女三代を主役とした連作短編集。テーマはお金。

 その冒頭…。

人は三千円の使い方で人生が決まるよ、と祖母は言った。

 え? 三千円? 何言ってるいるの?

 中学生だった御厨美帆は、ちょうど読んでいた本から頭を上げた。

 「人生が決まるってどういう意味?」

 「言葉どおりの意味だよ。三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ」 

 に、なるほどとうなずいてしまった。

 で、自分なら三千円を何に使うかなあ…と考えて、まっさきに(とうぜんのように)馬券が浮かんできて(1点千円、馬連3頭ボックスで)我ながら情けなくなった。

 いま、我ながら情けなくなったと書いたが、じつはあまり情けないとは思ってなくて、わたしが思うに、情けない人生をおくっている人のほとんどは、本当はそれを情けないとは思ってなくて、そのあたりに、情けない人生を送っている原因があるのである。

 

 腰痛いし、明日は仕事で早起きだし、早めに寝ることにする。