単純な生活 / 気がつけば本を読んでいる

読書日記、ときどきブックガイド、的な。

あの日

 

久しぶりにジョン・レノンの「Plastic Ono Band」を聴く。

PLASTIC ONO BAND

PLASTIC ONO BAND

 

 亡くなってから40年近く経つのかあ…と、しばし感慨にふける。

 

1980年当時、わたしが勤めていた古本屋では、ずっとFEN(極東放送:在日米軍のためのラジオ放送)を流していた。

12月8日の何時頃か忘れたが、FENが急にジョンの曲ばかり流し始めて、最初は「おっ、今日はジョン・レノンの特集か」とか思って喜んでいたのだが、途中で頻繁にニュースが入るし、何やら不穏な感じがラジオから伝わってきて、すごく不安になった。

その後、お客さんからジョンの死を知らされた。

人の死を聞いて膝がぶるぶる震えたのは、後にも先にもあのときだけである。

 

仕事の帰り、行きつけの喫茶店に行くと、レッド・ツェッペリンがいつもより少し大きめの音量でかかっていた。

客から、「ジョン・レノンかけてよ」と言われても、ビートルズ好きのマスターは、怒ったように客を睨みつけて、ひたすらツェッペリンをかけていた。

わたしは、店の隅で『嗚呼!花の応援団』を読みながらずっと笑っていた。

そのあと、どうやってアパートまで戻り、その夜をどうやって過ごしたのかは、もう憶えていない。 

 

あの日に感じた深い喪失感は、やがて時間が癒してくれた。いまでは、ジョンのことを思って心が重くなることもないし、彼の音楽を前ほどは聴かなくなった。

人は、ずっと悲しむようにはできていないのだろう。

しかし、ジョンの命日が巡ってくるたびに、わたしは、あの日に感じた悲しみを少しだけ思い出すのだ。喫茶店で流れていたツェッペリンと、ひたすらくだらなかった『嗚呼!花の応援団』のことを思い出すのだ。

思い出しながら、わたしは、ちょっと笑う。