単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

“怪奇小説”の名に恥じない怖さの短編

 

小川洋子の『匂いの収集』を読む。

 

平成怪奇小説傑作集2 (創元推理文庫)

平成怪奇小説傑作集2 (創元推理文庫)

  • 発売日: 2019/09/28
  • メディア: 文庫
 

 

好アンソロジー『平成怪奇小説傑作集2』の冒頭に収録されている。

この著者の長編は、『猫を抱いて象と泳ぐ』(傑作!)や『ミーナの行進』など、いくつか読んだことがあるが、短編を読むのは初めて。

 

いやあ、怖い。

怪奇小説”の名に恥じない怖さ。

 

「今日のチェンバロは、朝露に濡れたシダの匂いがする」

 初めて出会ったコンサートホールで、彼女はそんなふうに話し掛けてきた。何と答えていいか戸惑ったまま、僕はあいまいに微笑んだ。ね、そう思うでしょ? と念を押すように、彼女はパンフレットを胸に抱きながら笑みを返した。演目はバッハのチェンバロ協奏曲第4番だった。

 彼女は匂いの専門家だ。この世のあらゆる匂いを収集するのを趣味にしている。

 

彼女の匂いフェチのエピソードが、恋人の彼によって語られていく。

 

 夜、僕たちはたいてい音楽を聴いて過ごす。エチュード管弦楽やバイオリン協奏曲やセレナーデ。夜になるとガラス瓶が闇を含み、匂いたちの眠りは一層深くなる。

「今日は特別ジャスミンが香るわ」

 二人を取り囲むこんなにもたくさんの匂いを、彼女はちゃんと一つ一つかぎ分けることができる。

「うん、そうだね」

 僕には何の匂いもしないけれど、決して逆らわない。

 

読みながら、ふむふむ、ほー、ん?、げげっ!、ぎゃーっ! ってなる(笑)。

最後の1ページが、まじで怖い。

 

 

Allman Brothers Band の『Eat a Peach』を聴く。

 

Eat a Peach

Eat a Peach

 

 

音が古くせ~(笑)。

凄い好き。

タイトルが詩的(たしかアレン・ギンズバーグが誉めてた)。

 

 

▶夜、米を買いにスーパーへ。

けっこうな「密」で、少しびびる。

コロナ前なら、「おっ、今日は空いてるな」って思うような混みようではあるのだが。

米と、野菜などをちゃちゃっと買って帰る。

帰宅後、品物をすべてアルコールシートでふきふき。

なにもここまでしなくてもと思いはするが、もはや日常のルーティーンになっていて、やらないと気持ち悪いのだ。

 

▶明日も、無事に過ごせますように。