▶小川洋子の『匂いの収集』を読む。
好アンソロジー『平成怪奇小説傑作集2』の冒頭に収録されている。
この著者の長編は、『猫を抱いて象と泳ぐ』(傑作!)や『ミーナの行進』など、いくつか読んだことがあるが、短編を読むのは初めて。
いやあ、怖い。
“怪奇小説”の名に恥じない怖さ。
「今日のチェンバロは、朝露に濡れたシダの匂いがする」
初めて出会ったコンサートホールで、彼女はそんなふうに話し掛けてきた。何と答えていいか戸惑ったまま、僕はあいまいに微笑んだ。ね、そう思うでしょ? と念を押すように、彼女はパンフレットを胸に抱きながら笑みを返した。演目はバッハのチェンバロ協奏曲第4番だった。
彼女は匂いの専門家だ。この世のあらゆる匂いを収集するのを趣味にしている。
彼女の匂いフェチのエピソードが、恋人の彼によって語られていく。
夜、僕たちはたいてい音楽を聴いて過ごす。エチュードや管弦楽やバイオリン協奏曲やセレナーデ。夜になるとガラス瓶が闇を含み、匂いたちの眠りは一層深くなる。
「今日は特別ジャスミンが香るわ」
二人を取り囲むこんなにもたくさんの匂いを、彼女はちゃんと一つ一つかぎ分けることができる。
「うん、そうだね」
僕には何の匂いもしないけれど、決して逆らわない。
読みながら、ふむふむ、ほー、ん?、げげっ!、ぎゃーっ! ってなる(笑)。
最後の1ページが、まじで怖い。
▶ Allman Brothers Band の『Eat a Peach』を聴く。
音が古くせ~(笑)。
凄い好き。
タイトルが詩的(たしかアレン・ギンズバーグが誉めてた)。
▶夜、米を買いにスーパーへ。
けっこうな「密」で、少しびびる。
コロナ前なら、「おっ、今日は空いてるな」って思うような混みようではあるのだが。
米と、野菜などをちゃちゃっと買って帰る。
帰宅後、品物をすべてアルコールシートでふきふき。
なにもここまでしなくてもと思いはするが、もはや日常のルーティーンになっていて、やらないと気持ち悪いのだ。
▶明日も、無事に過ごせますように。