▶夜、うまく寝つくことができず、深夜3時頃に目覚めてしまう。
しばらく寝返りをうっていたのだが、眠れそうにもないので起きることにした。
若い頃、老人たちが「朝早く目が覚めてしまう」と言うのを聞いても、早起きできてラッキーじゃんとしか思ってなかったのだが、“早く目が覚めてしまう”=“ちゃんと眠れない” と言うことなんだな。
これは、けっこう辛い。
そして、変な時間に眠気が襲ってきたりする。
やれやれ。老人になると言うのも楽ではないな。
▶早く起きても、本を読むほど頭が冴えているわけではないので、古い映画を1本観ることにする。
スティーヴ・ブシェミ主演の『イン・ザ・スープ』。
共演が、名優シーモア・カッセルと、当時監督の妻でもあったジェニファー・ビールス。
ブシェミが扮するのは、映画作りを夢見る貧乏な青年アルドルフォ。
その夢に資金を出そうとする怪しいオヤジがシーモア・カッセル(ジョー)。
ブシェミが住む安アパートの隣人で、ブシェミの憧れの女性がジェニファー・ビールス(アンジェリカ)。
監督は、アレクサンダー・ロックウェル。
全編モノクロ。
1992年のサンダンス映画祭でグランプリを獲得している。
とにかくシーモア・カッセルが演じるジョーが怪しすぎて、画面から目が離せなくなる。
サンタクロースの格好でポルシェを盗んだり、認知症の老人の家に空き巣に入ったり、それにいちいちアルドルフォを付き合わせる。
そして、そういう悪事で得た金をアルドルフォの夢のために使おうとするのだ。
ときには、寝ているアルドルフォのベッドにもぐりこんで、アルドルフォの耳をはむはむ噛んだりする(笑)。
なんなんだよ、このオヤジ。
最初は気味悪がっていたアルドルフォも、どこか憎めないジョーの魅力に負けて、いつしか行動を共にするようになる。
が、かんじんの映画作りは、いっこうに前に進まない…。
こういう映画好きだわ~。
とか、心のなかで呟きながら観る。
とくに寝不足で少し頭がぼーっとしている状態だと、よけいに面白く感じる。
とくに大きな事件が起こるわけでもなく、わりとダラダラと続いていくのだが、そのダラダラ感がすごく良い。
スティーヴ・ブシェミもシーモア・カッセルも、唯一無二の役者(と言うか、顔)だな。
調べたら、DVDは廃盤らしく、中古で高値がついている…。
TSUTAYAの「発掘良品」で出ると良いなあ。
▶映画を1本観ても、まだ午前5時過ぎで、眠気は襲ってこず、かと言って頭が冴えているわけでもなく、ぼんやりとした状態のままだ。
で、ショーン・タンのスケッチ集、『鳥の王さま』(河出書房新社)を手に取り、ぱらぱらとめくる。
スケッチ集なので、まとまったストーリーがあるわけではないのだが、1枚1枚の絵からは、その背後にあるであろうストーリーが強烈に漂ってくる。
表紙の絵は、「無垢(鳥の王さま)」と題されている。
奇妙な動物が、頭に王冠を戴いた鳥を運んでいる(なんだか、すごく急いでいる感じもする)。
鳥の王さまとは誰なのか、何のメタファーなのかもわからない、とショーン・タン自身が解説しているが、この絵の向こうには、絶対的に面白い物語が潜んでいるよね。
その、まだ見ぬ物語をぼんやりと想像するのが楽しい。
▶妻が起きてきたとたんに眠気に襲われる(笑)。
「えっ、どういうこと?」と聞かれたが、たんなる偶然なんだよ、いやホントに。
朝食に、素麺を食べ、少し眠る。
▶昼過ぎに起きたが、頭はぼんやりとしたままだ。
今日は、“終日ぼんやりの日”なのか?
なんだよ、それ。