単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

朝からがっつりいきすぎだろう

▶朝、電車に乗ったら、焼きそばを食ってるオヤジがいた。

私は、わりと匂いに敏感なので、嫌だなと思い隣の車両へ移動。

すると、麻婆丼を食ってる婆さんがいた…。

食堂車かよ!

 

だいたいなんだよ麻婆丼って。

おにぎりやサンドウィッチならまだしも、朝からがっつりいきすぎだろう。

 

 

▶電車の中では、New Zion Trio の「Fight Against Babylon」。

 

 

美しい。

仕事になど行かず、ずーっと聴き続けていたい…。

 


New Zion Trio Live at Ferrara Jazz Club : After The Rain / Lost Dub / Naima

 

こちらのライブも好き。

Full Show で90分くらいある。

ドラムが、かっけー。

 


New Zion Trio at the Falcon 9.26.2018 FULL SHOW

 

 

▶昼食にグリーンカレー

たまに無性に食べたくなる。

 

食後、YouTubeをぶらぶら。

で、明和電機オタマトーンの世界的な活躍を発見。

 


【和訳】スペインのゴット・タレント、予選に持ってきたのは東京のお土産で... | Got Talent España 2021

 


Otamatone オタマトーン

 

 

▶10年近くも前の話。

とうじ私は、東京都内のとある劇場で働いていた。

そこは、1階が誰でも利用できる共有スペースになっていて、ベンチなども置いてあり、その周りにはカフェや花屋さんなどが並んでいた。

路面から自由に出入りでき、扉もないので通り抜けする人も多かった。

たまにホームレスの方がベンチに座ったりしていたが、警備員のひとも目くじらをたてたりはせず、わりとのんびりとした空気が漂っていた。

 

ある日、ベンチのひとつに、ひとりの男性が座るようになった。

朝のオープンから夜遅くまで、ベンチに座ったままで過ごすのである。

服装は清潔で、ときどき背中にしょった青いリュックからペットボトルを出して水を飲む。

たまにトイレにたつ。

昼と夜には、ベンチちかくのおにぎり屋さんで、おにぎりぎを買って食べる。

それ以外は、なにもせず、ひたすらベンチに座っている…。

ベンチに寝転がるわけでもなく、わりと姿勢よく前を向いている。

本を読むとか、携帯を覗くとか、音楽を聴くとか、そういうことは、まったく何もしない。

ただ前を向いて座っているのである。

1日約12時間、座り続けているのである…。

 

男性は、まったく誰にも迷惑をかけていなかった。

なにしろ、騒ぐこともなく、静かに、ただ座っているだけなのだ。

ところが、スペースを利用する客の多くからクレームがくるようになったのである。

「あの男の人が気持ち悪い」

「なにもせずに、座っているだけなんて、なんか怖い」

「あのひとがいるだけで、なんだか落ち着かない」

などなど…。

 

劇場側は、協議の末、まず男性に「なにが目的でここにずっと座っているのか」を聞くことにした。

返ってきた答えは「用はないです。これといってやることがないので、ここに座っているのです」という、しごく真っ当な言葉だった。

これが私営の劇場なら「ちょっと迷惑だから」と追い出すこともできたかもしれないが、その劇場は公営の建物で、税金を払っている人に対して、「出ていけ」とは言えないのである。

繰り返すが、男性は何もしてないのである。

終日、ベンチに座っているだけなのである。

 

しかし、男性に対するクレームは徐々に増えていった。

落ち着かないとか、気持悪いとか、まあ、そんな感じのものばかり。

さすがに、面と向かって文句を言う人はいなかったようだが(だって何もしてないからね)、警備員のひとには毎日のように「あの人はなに?」という問い合わせがあったらしい。

 

けっきょく、警備員のひとが男性に声をかけ、多くのひとがちょっと気味悪がっていると伝えた。

できれば、ずっとここに座らずに、ときどき場所を変えてほしいと。

その方が気分転換になるんじゃないのかな、と(余計なお世話だが)。

 

男性は、「わかりました」と素直に頷いて、あくる日から座る場所をちかくの公園のベンチにかえた。

そのうち、男性の姿は公園からも消えていた。

ときどき、駅近くのデパートの屋上のベンチに座ってるのを見たとか、隣駅の公園のベンチにいたとか、目撃情報が寄せられたが、それもいつしかなくなった。

 

男性の、「ただ静かに座っている」という行為は、なぜあんなにも人を不安にさせたのだろう?

何もしないことは、いけないことなのか?

ただ存在しているだけ、というのはダメなことなのか?

 

私は、ときどき、あの静かな男性のことを思い出す。

そして、いまもどこかのベンチで、微動だにせず前を向いて座っている姿を想像する。

できれば、いまでもなお、周りのひとを少しざわつかせていて欲しい。

異質なものを排除しようとする人たちに対して、静かに抗議し続けていて欲しい(そういう気持ちはさらさらないでしょうけど)。