▶『僕らのミライへ逆回転』を観る。
2008年公開のアメリカ映画。
良い映画だ。
邦題、ひどいけど。
ニュージャージ州パセーイクにある古ぼけたレンタル・ビデオ店「Be Kind Rewind」が舞台。
ちかくのライバル店はDVDを置いているのに、この店はいまだにVHSテープオンリー。
とうぜん売り上げも伸び悩み、ビルの老朽化に伴い立ち退きを迫られている。
店主は、自分の店に誇りをもっている老人フレッチャー。
店員は、人の好い青年マイクひとり。
店に出入りするのが、マイクの幼馴染のジュリー(ちょっといかれている)。
ある日、身体に強烈な磁気を帯びてしまったジュリーのせいで、店のテープがすべてダメになってしまう。
困り果てたマイクとジュリーが思いついた対策は、客からリクエストのあったタイトルを、すべて自分たちでリメイクしてしまうというもの。
「ゴーストバスターズ」「ラッシュアワー2」「ライオン・キング」「2001年宇宙の旅(!)」「キングコング」などを、次から次にリメイク。
2時間の映画を、わずか20分に短縮してしまうし、そもそもマイクとジュリーをはじめ出演しているのはド素人ばかりなので、バレバレなのだが、これが評判を呼び店は大繁盛。
調子にのったかれらは、客からのリクエストに応えて、名作をどんどんリメイク。
この場面が、すごく楽しい。
元ネタの映画を知っていれば、いるほど楽しい。
やがてかれらの行動は、街の住民をも巻き込んで大きなうねりとなっていく…。
うーん、なんか感動大作っぽい話になってるが、そんなことはない “笑”。
手ざわりは、かれらが作る映画とおなじで、どこまでもチープだ。
でも、これもかれらが作る映画とおなじで、映画に対する愛があふれているのだ。
▶ Ry Cooder(ライ・クーダー)の『Get Rhythm』(1987) を聴く。
それまで知る人ぞ知るって感じのミュージシャンだったライが、日本でもプチブレイクしたアルバム。
おそらく、ソロ名義のアルバムは、いまのところこれが最後ではないか(ちゃんと調べたわけではないが)。
このアルバムが出てすぐの頃に来日。
わたしは、中野サンプラザで観た。
月並みな言葉だけど、マジ最高!だった。
わたしは、それまでずっと、ライはライブが下手だと(ん?韻を踏んでる?)思っていた。
なんて言うか、スタジオ・ミュージシャン的な、インドアな人だとばかり思っていたのだ。
ぜんぜん違ったね!
音が良いのはとうぜんなのだが、ライブの進め方がすごく良くて、わくわくした。
わたしが、これまでに観たライブのなかでも、ベスト3に入る。
当日は、ちょっと肌寒い日だったのだが、サンプラ前の広場で、アロハシャツを着た青年二人組が、「なんでみんなアロハじゃないんだよ~?」と叫んでいて面白かった。
わたしは友人とふたりで行ったのだが、サンプラに着くと、べつの友人や、よく行くレコード屋(まだレコードの時代だったのだ)の店主とか、友人が通う居酒屋のマスターとか、知った顔が何人かいて、みんなライが好きだったんだなあ…と、ライブが始まる前から少し幸せな気持ちになったのを覚えている。
ドラマーがジム・ケルトナーで、嬉しかった。
でも、ライがキーボードの前に座っている小柄なおじさんを「Van Dyke Parks !(ヴァン・ダイク・パークス)」と紹介したときは、かれが参加してるとは知らなかったので、ほんとうに驚いた。
会場も、凄い拍手だったな。
ライも、その拍手に嬉しそうだった。
冒頭マイクの前に立ってバンドを紹介しているのは、俳優のハリー・ディーン・スタントン。
この頃から、渋い!
ドラムは、ジム・ケルトナーだ。
わりとさいきんのライはこちら。
Ry Cooder - The Prodigal Son (Live in studio)
かっけー “笑”。
思わず笑っちゃうくらい、かっけー。
▶朝、通勤電車の中で。
「俺は中国人とか韓国人は大嫌いだ」とのたまっているオヤジがいた。
中国の人口は、現在約14億人。
韓国の人口は、現在約5千万人。
それぞれに、それぞれの人生を生きている人たちを、「中国人」「韓国人」と乱暴にひとくくりにして語れる神経が理解できない。
バカなのか?
バカなんだろうな。