▶『セントルイス銀行強盗』を観る。
1959年制作のアメリカ映画。
いくら日本未公開だからって、邦題もっと頑張れよと思ったけど、原題もそんな感じだった “笑”(The Great St. Louis Bank Robbery) 。
監督がドキュメンタリー専門のひとなので、こういう素っ気ないタイトルにしたんだろうか。
“King of Cool” スティーヴ・マックイーンがかっこいい。
公開当時29才である。
モノクロ映像なので、かれのブロンドと美しい青い眼を見ることができないのが、なんとも残念。
ストーリーはタイトル通りで、じつに単純。
4人の悪い奴らが、緻密な計画を練って銀行を襲撃するも、ちょっとした計画の狂いから失敗する。
マックイーン扮するジョンは、運転手の役割で、本人は運転だけという約束で仲間に加わったのだが、いつの間にか銀行強盗の実行犯にまでなってしまう。
自分の意思に反して、大きな犯罪に巻き込まれていく若者の恐怖と悲哀が、マックイーンの演技に漂っていて、思わず引き込まれる。
全100分のうち70分が襲撃計画の描写である。
長い。
とっとと銀行襲えよ、と思うが、いろいろあって、なかなか襲わない。
で、襲ったと思ったら、あっけなく失敗する。
なにやってんだか…。
失敗のしかたも(そして映画的な展開も)、なんか杜撰過ぎて逆にあっけにとられる。
しかし、そういう杜撰さも、マックイーンがクールなのですべて許せるのである。
この映画の約1年後、かれは大作『荒野の七人』でスターの仲間入りをする。
▶Goldmund の『The Malady Of Elegance』(2008)を聴く。
アメリカの作曲家キース・ケニフ(Keith Kenniff)のユニット。
音色が柔らかで良い。
私は、どちらかと言うと、キース・ジャレットのような硬質で緊張感のあるピアノが好きなのだが、Goldmundのピアノも嫌いではない。
とくに雨の日に聴くには最適。
Goldmund – The Malady Of Elegance (2008)
YouTubeに全曲フルであがっている。
▶山田稔の『シネマのある風景』を半分ほど読む。
フランス文学者であり、優れた短篇作家でもある著者の、映画をめぐるエッセイ集。
観ている作品のほとんどが、ミニシアターにかかるようなものばかりで、ハリウッド映画はほとんど出てこない。
ピーター・グリーナウェイの「数に溺れて」に興奮したり、「ゴダールのマリア」の多すぎるボカシに憤慨したり、映画の好み的には少し “変態” なので、話題にしている作品も、真っ当な映画ファン(嘘つけ)である私が観ていない(そしてこれからも観ないであろう)ものが多い。
それでも面白く読めるのは、文章が飄々として軽やかで、映画評論的な小難しさがないからだ。
おっコレは面白そうだな、って映画がいまのところひとつもないけどね “笑”。
▶さいきん、長編小説がまともに読めてない。
短編小説は、平均すると毎日1編ずつくらい読んでいるのだが、長いものはまったく読めてない。
読み始めはするのだが、途中でどうでもよくなってしまうのだ。
根気が続かないと言うか…。
もともと根気などまったくないのだが…。
小学校の通信簿に、「根気がありませんね」って書かれてたし。
老いかな?
老いなんだろうね。