単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『帰れない二人』(2018)を観る

 

▶『帰れない二人』を観る。

2018年制作の中国映画。

 

帰れない二人 [DVD]

帰れない二人 [DVD]

  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: DVD
 

 

ジャン・ジャクー監督の最新作。

主演は中国の吉行和子(顔が似てると思うのだが)チャオ・タオ。

2000年から2017年までの中国を舞台に語られる愛の物語。

 

チャオ・タオ演じるチャオは、ヤクザ者のビン(リャオ・ファン)に惚れている。

ふたりで踊ったり、酒を飲んだり、いちゃいちゃしていればそれで幸せだったのだが、ある日突然、その幸せが終わってしまう。

街でチンピラの集団に襲われるビン。

チャオは、咄嗟にビンの拳銃を取り出し、空に向けて撃つ。

チャオによって命を助けられたビンだが、拳銃の違法所持でチャオは刑務所へ行くことになる。

5年の刑期を終えて出所して、ビンを訪ねるチャオ。

しかし、ビンは会おうとはしない。

すでに別の女がいたのだ。

傷心のチャオは街を離れ、故郷の大同に帰る。

そして2017年、ビンがチャオの元に戻って来る…。

 

トーンは終始静かで、世界の中心で愛を叫ぶことはない。

画面にはリアルな中国の今が映し出される。

その風景のなかを、チャオとビンの人生が漂っていく。

 

ラスト、どうやって終わらせるんだろうと思っていたら、うーん、かっこ良いな。

 

 

 

▶King of Convenience の『Riot On An Empty Street』(2004)を聴く。

 

Riot On an Empty Street

Riot On an Empty Street

 

ノルウェーのアコースティック・デュオ。

 

www.youtube.com

 

おしゃれやわ~。

 

 

 

片岡義男の『彼らを書く』を読む。

 

彼らを書く

彼らを書く

  • 作者:片岡 義男
  • 発売日: 2020/04/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

“彼ら”とは、ザ・ビートルズボブ・ディランエルヴィス・プレスリー

それぞれのライブ映像とか、出演した映画、あるいは関連した映像作品を観て、その感想を書いている。

いかにも片岡義男らしい的確な表現で、観ている映像の詳細を文章にしている。

映像の文字起こし。

読みながら、映像が頭に浮かぶ。

そこに片岡義男の感想がストンと入ってくる。

 

ザ・ビートルズの章では、ナンシー・アレン主演の『抱きしめたい』をとりあげていて嬉しくなる。

ナンシー・アレンも、もう70歳かぁ…と、変な感慨にふけったりして。

 

ジョン・レノンの無名時代を描いた『Nowhere Boy』もちゃんと観ている。

 

 ザ・ビートルズ、という呼称が一度もこの映画のなかにあらわれないのは、英断のひとつだと言っていい。ザ・クオリーメンの名は、教会のバザーの場面に、大きくあった。ザ・クオリーメンと書いた紙が、地面に置いた物品に立てかけられていた。ザ・クオリーメンの名は出すけれど、ザ・ビートルズの名は出さない、という判断だ。事実の断片をいくつもつなぎ合わせると、そこに生まれるのはひとつの美しいフィクションである、と教えてくれる映画だ。

 

評が的確過ぎて、うなる。

こういう的確さが、この人を日本で最高の短編作家のひとりにしているのだろう。