単純な生活

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『放浪の画家ピロスマニ』(1969)を観る

 

▶『放浪の画家 ピロスマニ』を観る。

 1969年制作のグルジア映画。

 

放浪の画家 ピロスマニ Blu-ray

放浪の画家 ピロスマニ Blu-ray

  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: Blu-ray
 

 

孤高の画家ニコ・ピロスマニの半生を描いた伝記映画。

 

ピロスマニは、現在ではジョージアグルジア)の国民的画家として愛されているが、生前には富も名声も得ることはなく、正当な評価も受けないまま、56歳で貧困のうちに世を去っている。

 

田舎から街に出てきて、商売を始めるも人付き合いの下手さから上手くいかず、けっきょくは街の酒場を渡り歩きながら、生涯絵だけを描いて暮らした。

 


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 映画はほとんどが引きの絵で、アップはない。

画面ひとつひとつが、まるでピロスマニが残した絵のように美しく、ときどきホーッとため息をついてしまう。

 

画面から伝わってくるグルジアの空気感がすごい。

日本や中国の風景とは違う、乾いた孤独感のようなもの。

映画のなかでときおり聞こえる生活音が、アジアのそれとはあきらかに違う。

椅子を引く音、食器のたてる音、ワインをそそぐ音、ひとが歩く音、ドアの開け閉めの音…すべてが、どこか乾いていてる。

乾いているのに、温かい。

アジアの映画から聞こえてくる生活音は、かならずではないにしろ雑音がいっしょに聞こえてくるが、この映画から聞こえてくる生活音には、その雑音がない。

ひとつひとつの音が、その音のみで存在している感じ。

静かで、孤独で、しかし温かい。

こういう空気感のなかから、ピロスマニの絵は生まれたんだな、と勝手に思う。

 

ちなみに、この『放浪の画家ピロスマニ』が公開された1969年、遠くアメリカでは、『真夜中のカーボーイ』『イージー・ライダー』『明日に向かって撃て!』『ワイルド・バンチ』が公開されている。

アメリカン・ニューシネマの幕開け。

そして、シャロン・テートが無惨に殺害された年。

とても同じ時代に作られた映画とは思えない。

 

観終わったあと明るい気分になれる映画ではないが、ときおり無性に観たくなる。

 

 

 

 

▶ Tanita Tikaram(タニタ・ティカラム)の『ACOUSTIC』(2018)を聴く。

 

Tanita Tikaram (Acoustic)

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  • タニタ・ティカラム
  • シンガーソングライター
  • ¥1528

 

代表曲をアコースティック・バージョンで再録。

声が好き。

デビューから30年、地味だけど息の長いシンガー。

 

いちばん有名な曲のミュージックビデオ。

 


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その曲の弾き語り。

 


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サフランの、小さいけど大物って感じが、なんか良い。

 

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