単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『タッチ・オブ・スパイス』(2003)を観る

 

▶『タッチ・オブ・スパイス』を観る。

2003年制作のギリシャ映画。

 

 

この映画を観るにあたって、おさえておくべき歴史的事実はひとつだけだ。

ギリシャとトルコは、めっちゃ仲が悪い!」

これだけで良い。

なぜ仲が悪いの?って疑問の答えは、歴史的、宗教的、地理的にいろいろあって、日本人にはちょっとわけがわからないとこがある。

なので、そういう難しいところは、すべてスルーで。

とにかく、ギリシャとトルコは、仲が悪いのだ。

 

舞台は、1960年代、トルコのイスタンブール(この映画はギリシャ映画なので、都市の名前もコンスタンティノープルとなっている)。

少年ファニスは、スパイス屋を営む祖父ヴァシリスの家で家族とともに幸せに暮らしている。

少し俗物の父、料理好きの母、ときどき新製品の電化製品(ミキサーとか)を持って現れる船乗りの伯父さん、などなど、賑やかで幸せな一族だ。

週末には一族が集まり、食卓を囲む。

テーブルに並ぶのは、どれもスパイスの効いたギリシャ料理

女性たちが台所でわいわい言いながら作った料理の数々。

 

ヴァシリスお爺ちゃんは、いろんなことをスパイスに絡めて教えてくれる。

空の星のこと、人のこころ、世界のこと…。

お爺ちゃんの、どこか哲学的な言葉がファニスのこころに沁み込んでいく。

そして、初恋の少女サイメ…。

ダンスの上手なサイメといるだけで、ファニスは幸せだった。

 

しかし、そんな幸せな時間も、やがて終わる。

ファニスの知らないところで、ギリシャとトルコは争い、トルコ国籍をもたないギリシャ人たちは財産没収のうえ国外退去処分となってしまう。

ファニスは父母と一緒にアテネに渡り、祖父のヴァシリスとサイメは、コンスタンティノープルに残ることになる…。

 

時は経ち、2004年、ファニスは天文学者となり、アテネで暮らしている。

そんなファニスのところに、コンスタンティノープルから祖父ヴァシリスが訪ねて来るという知らせが入る。

ファニスは、紛争で家族とともにトルコを離れて以来、いちども祖父とは会っていないのだ。

もちろんサイメとも。

 

得意の料理をいくつも作り、ヴァシリスの古い友人たちと祖父の訪問を待っていた時に、電話が鳴る。

“食事の前の電話の音は、平和なひとときを打ち砕く”

悪い知らせだった。

アテネに来るはずの祖父が倒れて入院したのだ。

ファニスは、祖父を見舞うため、何十年ぶりかでコンスタンティノープルの地を踏む…。

 

映画は、天文学者になったファニスが、祖父入院の知らせを受けるところから始まる。

そこから、現在と過去を行き来しながら、紛争の時代を生きたギリシャ人の悲劇を描いていく。

が、けして重くはない。

とくにアテネでのファニスの少年時代は、観ていて楽しくなるエピソードばかりだ。

ままごとが大好きなファニスと、マッチョに教育したい両親の争い(「ままごとばかりしてると変態になるわよ!」)とか…、売春宿の女将に気に入られたあげく補導されてしまうファニスとか…、祖父のいるコンスタンティノープルに行こうと家出して列車のなかで寝てしまって車掌に見つかるファニスとか…。

ギリシャの軍事クーデターも、さらっと描写されて終わる。

 

コンスタンティノープルに帰ったファニスは、自らの過去と向き合うことになる。

病に倒れた祖父ヴァシリス。

そして、すでに人妻となっているサイメとの再会…。

 

ラスト、スパイスが舞い、そこに宇宙が現れるラストは感動的だ。

 


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どうしても、かの『ニュー・シネマ・パラダイス』と比べてしまうが、わたしは、こちらの方が過去と現在の描き方のバランスが良いように思えた。

大人になってからの主人公にも好感が持てると言うかね(シネパラの方はあまり好きではない)。

 

良い映画です。

 

 

 

▶ Beirut の『Gulag Orkestar』(2006)を聴く。

 

Gulag Orkestar

Gulag Orkestar

  • Beirut
  • インディー・ロック
  • ¥1528

 

むかしジャケ買いしたアルバム。

Spotifi や Amazon Prime Music など、サブスクで音楽を聴くようになってから、ジャケ買いってしなくなったなぁ…。

これは(おそらく)デビュー・アルバム。

不思議な音だ。

 


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トランペットとヴォーカルってのが、なんかおかしく、独特なユーモアが漂ってくる。

こういう音楽は、無条件で好きだ。

 


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▶ 腰痛がひどくて、GWはずっと寝て過ごしている。

わたしは、寝床では本が読めないので(すぐに寝てしまう…)、もっぱら Netflix や Prime Video で映画を観ている。

ただし、新作は、集中しないとストーリーが頭に入ってこないので、いささか辛く(腰痛がひどいと集中力はなくなるのだ)、けっきょく何回も観ている古い映画か、TVドラマを観ている。

これならぼんやりと観ていられるし、寝落ちしても大丈夫だ。

 

と言うわけで、今日は朝からずっと『スタートレック:The Next Generation』を観ている。

 

それにしてもベタゾイド星人ディアナ・トロイのおっぱい強調はいかがなものか。

あれではライカー副艦長がむらむらするのも無理はない。

しかもベタゾイド星人は、テレパシー能力でひとのこころが読めるので、ライカー副艦長のむらむらも読めてしまうわけでね。

なかなか罪深い女だわ、ディアナ・トロイ。

まっ、将来結婚することになるので、べつに良いのだが。

 

スタートレック・ファン以外には、なんのことやら。