▶『聖者たちの食卓』を観る。
2011年制作のベルギー映画。
60分のドキュメンタリー。
インド・パンジャブ州のアムリトサル(インド最北端の都市)にシク教の総本山「ハリマンディル・サーヒヴ」(黄金寺院)がある。
ここでは、毎日10万食の食事が巡礼者や旅行者のために、すべて無料で提供される。
毎日10万食…。
眩暈がするほどのスケール。
映画は、仕込みから調理、食事風景、そして後片付けまで、この驚異のシステムの一部始終を見せていく。
BGMはない。
聞こえてくる音は、鍋やフライパン(でかい!)、そして食器がたてる音、調理の音(大量の薪とガスボンベ!)、人々の喧騒、祈りの声、すべて自然の音のみ。
説明的なナレーションもない。
ただ見せるだけだ。
わたしたちは目撃者となって、かれらの一日を追うことになる。
食事を作っている人たちは、すべてボランティアだ。
かれらの、あまりの手際の良さにうなる。
そして何より、すげー美味そうなのだ!
観終わったら、ぜったいカレーが食べたくなる。
注意:夜遅くには観ないほうが良いです。
▶ Fruit Bats の『Absolute Loser』(2016)を聴く。
脱力系ポップ。
熊かわいい “笑”。
スタジオ・ライブ。
MCのおばちゃん、たまに見かけるんだけど……有名なひとなんだろうか?
名作の「件」「旅順入城式」、渋い「琥珀」「桃葉」など、全24編収録。
それぞれに小川洋子の短い解説(と言うか感想)が付く。
たとえば同時代の作家、芥川龍之介の短編を読むと、100年以上前に作られた工芸品を鑑賞しているような気分になる。
けして芥川龍之介の短編が古臭いという意味ではなく、かっちりと出来上がった名作を読んでいる感じに、どうしてもなるのだ。
が、内田百閒の短編を読むと、なぜか、昨日書かれた作品を読んでいるような感覚におそわれるのである。
なんだか、つねに生々しい。
すごく怖い作家だと思う。
「冥府」という作品では、かんぜんに向こうの世界を覗いちゃってるもんなぁ…。