単純な生活

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『ベン・ハー』をぜんぶ観てみる。1本目:1907年版。

▶『ベン・ハー』と言えば、1959年制作のウィリアム・ワイラー監督作品が有名だが、その前にも2本作られている。

どちらもモノクロ、サイレント。

 

▶まず1本目は1907年の制作。

 


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監督はシドニー・オルコット(Sidney Olcott)。

映画芸術黎明期の有名な監督で、1907年あたりから活動をはじめ1930年ちかくまでに大量の娯楽作品を撮っている。

YouTubeにアップされている作品を何本か観てみたが、グリフィスやシュトロハイムなどとは違ってアクのない素直な作風で、そのせいか今観るとかなり退屈である。

実生活でも、全米映画監督協会の設立メンバーのひとりで、後に会長になったりしているので、性格に難のない素敵な紳士だったのではないかと思う。

 

さて、1907年に作られた『ベン・ハー』だが、まず全編で15分ほどという短さに驚く。

はたして、あの長大な物語をわずか15分にまとめられるものなのか?と疑問に思いつつ観てみたのだが、案の定まとめられてない…“笑”。

と言うか、ストーリーがまったくわからない。

クローズアップがまったくなく、固定カメラで撮っているので、誰が誰なのかがさっぱりわからないのだ。

大勢の役者がわちゃわちゃとなにかやっているのだが、なにをやっているのかがいまいち判然としない。

全編が引きの映像なので、まったく迫力がない。

 

ベン・ハー』と言えば戦車競走がひとつの見せ場なわけで、とうぜんこの作品でもクライマックスは戦車競走である。

が、ここでもカメラは固定されたままなのである。

定点観測のカメラのように据え置かれたカメラの前を、3台ほどの競走用の馬車が何回か走ってレースは終わりである。

観客の数も地元の幼稚園の運動会でももう少しいるぞ、ってくらい少なく迫力がない。

そういうわけで、どれがベン・ハーの乗っている戦車なのか、まったくわからんのだが、字幕で「ベン・ハーが勝った!」と出るので、まあ勝ったのであろう。

 

映画はここで唐突に終わる。

ベン・ハー』には「キリストの物語」という副題がついていて、親友への復讐に燃えるベン・ハーと、若きイエス・キリストとの出会いが感動的に描かれるのだが、この映画では、そこはいっさい描かれない。

イエス・キリスト完全無視。

もしかしたら、とうじは人間である役者が神の子であるキリストを演じることはタブーだったらしいので、その部分は省いたのかもしれない(1927年制作のKing of Kingsという作品では顔出ししているのだが…)。

 

しかし、、そもそも、なぜ15分足らずの尺で「ベン・ハー」を映画化できると思ったのだろう?

なぜ、「いける!」と思ったのかな?

謎。

 

▶さて、続いてフレッド・ニブロ監督の1926年版を観る予定だが、サイレントで140分もあるな…。

これはキツイぞ“笑”。

監督は『血と砂』という名作を撮っているひとだし、アカデミー賞で作品賞ほか11部門を独占した作品だし、観て損はないと思うのだが、いきなり例のチャールトン・ヘストン主演の名作に飛びたい自分がいるのも確かである。

でもまあ、「ベン・ハー」をぜんぶ観てみると決めたので(なぜ決めた?)観てみるけど、とりあえず、それは今日ではない。