単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

ありふれた日常 #14 / ジョン・レノンの命日

 

▶4時に起きる。

珈琲を飲みながら、Netflix配信の『First Love 初恋』の第1話を観る。


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主演は、満島ひかり佐藤健。監督は、寒竹ゆり。

こういうドラマは、登場人物たちすべてに幸せになってほしい。

ほろ苦い終わり方とか、ブルーになる結末とかはマジでいらない。

 

6時過ぎにゴミを出しに外へ出てみると、電柱にカラスが1羽。

見回すと、他にも3羽ほどが木の枝やちかくの家のベランダなどから下を睥睨している。

誰か死ぬのか?

かれらが待っているのは、わたしの死なのか?

じっと見ていると、カラスもこちらを見ている。

カーッと、なんだかバカにしたように鳴かれた。

 

 

▶朝食のあと少し眠る。

起きて、映画を1本。

ホアキン・フェニックス主演の新作『カモン・カモン(C'mon C'mon)』(2021)。


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監督はマイク・ミルズ

良かった。

他人とのコミュニケーションにやや難ありの少年ジェシーと、ラジオ・ジャーナリストの伯父ジョニーの、やむを得ず始まった共同生活を描く。

共同生活をすることによってお互いに影響を受け合い、その生き方が変わっていく。

ありがちな設定だし、少し予定調和的な結末ではあるけれど、その予定調和な感じがわたしを幸せにしてくれる。

予定調和バンザイ。

それにしても、ジェシー役のウッディ・ノーマンくんの演技が凄い。

ホアキンと対等に渡り合っている。

モノクロの映像もリアリティ感を強めるのにひと役かっているね。

しかし、ほぼ会話劇で、ドラマティックな盛り上がりもないので、退屈なひとにはかなり退屈な映画だろうなぁ。

 

 

音楽をThe National のデスナー兄弟が担当している。


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美しい…。

 

 

▶この日記めいたものを書いている時点で、今日は12月8日である。

世界史的には、日本が真珠湾を攻撃してアメリカにけんかを売った日であるが、私的にはジョン・レノンが銃弾に倒れた日である。

 

1980年12月9日(アメリカ東部時間で12月8日夜)。

その日、夕方に仕事を終えたわたしは、ラーメン屋で炒飯と餃子を食べ、とうじ毎日のように通っていた貸本屋に寄ったのだった。

そこで、店主から「ジョンが撃たれて亡くなったらしい」と聞かされたのだ。

店主はなぜかニヤニヤ笑っていた。

にわかには信じ難かった。

あのジョンが撃たれる?

誰に?

敵などいないだろう…?

わたしは半信半疑のまま、これもとうじ行きつけだった喫茶店に顔を出した。

そこはマスターが大のビートルズ・ファンで、終日ビートルズをながしているような店だった。

そこのマスターなら、詳しい情報(と言うか、真実の情報を)なにか知っているに違いないと思ったのだ。

ドアを開けると、レッドツェッペリンの重いビートが耳を打った。

この店でツェッペリンがかかることなど、めったにないことだ。

マスターをみると、怒ったような顔で珈琲を淹れている。

わたしはカウンターに座り、珈琲を注文した。

いつも陽気なマスターは不愛想なままで、店内にはツェッペリンが流れ続けている。

“声をかけるな”と言う強烈なオーラを背中から発しているマスターを見ながら、わたしはジョン・レノンが亡くなったことを確信した。

その後、マスターと会話をできたのかどうかは記憶にない。

なにを思い、どうやってアパートに帰ったのかも記憶にない。

翌日は仮病をつかって仕事を休んだ。

休んで何をしていたかも記憶にはない。

 

わたしは22歳だった。

ジョンが亡くなった年齢の40歳は、はるか先で、現実感のない年齢だった。

気がつけばわたしはジョンの享年をとっくに越え、いたずらに年を重ねて今に至る。

それを思うと、だらだらと生きてきた自分が少し恥ずかしくなる。

ジョンに笑われているような気がする、などと書くのは感傷的すぎるか。

 

ジョンは、いまでもわたしの先を歩いている。

わたしが、いくら速足で歩いてもたどり着けないところを、悠々と歩いている。

今夜は、久しぶりにジョンのアルバムを聴きながら寝ることにしよう。

亡くなったとうじは冷静に聴けなかった「ダブルファンタジー」にも耳を傾けてみよう。

 

ジョンが亡くなってしばらくしてから、自販機で緑茶を買った。

缶の側面に、俳句が一句のっていて、その句をいまでも覚えている。

「冬の日に ジョンの眼鏡は 晴れている」

 

 

ありふれた日常 #13 / When the music's over

 

▶どうにも眠れず、3時半に起きる。

寒い。

熱い珈琲を飲みながら、ぼんやりと過ごす。

眠いのだが、睡魔はやって来てくれそうにない。

難しい本を読めば眠れるかなと思い、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を手に取る。

かえって眠れなくなってしまう…。

 

ドストエフスキーの小説の登場人物たちって、なぜこうも元気なんだろう?

すべてのひとが全力疾走なんよ。

感情の全力疾走。

そのパワーに煽られて、こちらまでテンションがあがってしまう。

で、なおさら眠れなくなる。

 

 

▶妻を起こさないように、小さな音でキース・ジャレットの『My Song』(1978)を流す。

わたしは音楽をヘッドホンで聴くことが多いのだが、たまには空気を振るわせたくなる。

 

キースを中心としたヨーロピアン・カルテットの抒情性あふれる傑作。

メンバーは、キース・・ジャレット(ピアノ)、ヤン・ガルバレク(サックス)、パレ・ダニエルソン(ベース)、ヨン・クリステンセン(ドラム)の4人。

同時期に結成したアメリカン・カルテットは、メンバー同士の個性が強すぎて空中分解してしまったけど(ライブ演奏の途中でひとり抜けてるw)、こちらは個性と個性が良い具合に融合して素晴らしい作品になっている。


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YouTubeのコメント欄に「I love Mr.Jarrett. He always takes me home when I feel homeless. Thank you sir.」というのがあって、読んで泣きそうになった。

無理せず、長生きしてほしいなぁ…。

 

少し長いライブ映像も貼っておこう。


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美しい音楽を聴いている間は、「世界は良いことで溢れていて、悪人などひとりもおらず、すべては素敵な方向に進んでいる」と言う“幻想”にひたることができる。

音楽が終わると、その魔法も消えるわけだが。

When the music's over / Turn out the lights

 

 

▶妻が起きて来たので、一緒に朝食。

わたしは、いつものように蕎麦を半束(約50g)。

妻は、派手な顔つきのフルーツサンド。

オレンジが満面の笑みでこちらを向いているようなサンドウィッチを少しもらう。

不味くはないが、フルーツはフルーツのまま食べたい派だな、わたしは。

 

 

▶昼ちかく、ふたりで上野まで散歩。

上野公園のなかを散策。

以前には、土日になると炊き出しが出て、ホームレスのひとたちが列をつくっていたのだが、そういう光景はすっかりなくなった。

ホームレスさんも、ほぼ見かけない。

園内にはスタバ(いつも混んでいる)や上島珈琲店ができ、すこしお洒落になっている。

上野の街にお洒落は似合わないと思うのだがw

 

まだホームレスさんがたくさんいて、ブルシートのテントがあちらこちらにあった頃、近道をしようと(いけないことだけど)公園内の芝生の中を横切っていたら、テントから顔を出したおじさんに「ひとん家に勝手に入るな!」と怒鳴られたことがある。

懐かしい思い出です。

 

アメ横を抜け、ガード沿いに御徒町近辺を歩く。

ユニクロと吉池が入ったビルを過ぎたあたりから、街の匂いが少し変化する。

上野駅周辺の猥雑なかんじが薄れ、賑やかではあるが、どこか落ち着いた賑やかさに変わる。

観光地感が薄れる。

 

しゃれおつ空間の「2k540」をぶらぶらした後、歩き疲れたので、ドトールで休憩。

珈琲を飲みながら、ぼんやりとする(外でもぼんやりするんかい!w)。

 

ガード下の中華料理屋で昼食。

メニューが読めんw

適当に選んで注文。

本格的なメニュー表示のわりに、味はフツーだった。

 

松坂屋の地下で魚など買ってから、バスにゆられて帰宅。

帰宅後、夕食で妻に起こされるまで爆睡してしまう。

 

 

▶夕食は、買って帰った塩鮭で、軽くお茶漬け。

食後に映画を1本。

ジャン・ルノワール監督の『河』(1951)。

河(字幕版)

河(字幕版)

  • パトリシア・ウォルターズ
Amazon

 

評価の高い作品だけど…わたしにはイマイチだった。

インドの河沿いの村を舞台にしたインド版若草物語

主役の姉妹はみな白人(ひとりハーフ)で、インドの人たちや習俗(祭りなど)は背景として描かれるだけで、積極的にストーリーに絡むわけではない。

姉妹が夢中になる退役軍人も、もちろん白人。

後半、河の流れに託して、とってつけたような人生観が語られるが、なんだかなぁ…って感じだ。

先日観たサタジット・レイ監督の『大地のうた』と比べると、西洋人監督と東洋人監督の決定的な差のようなものを感じてしまう。

キリスト教世界で生まれ育ったひとが、輪廻転生などを基本とする東洋思想を理解するのは、なかなか難しいのかも知れない。

東洋の思想を、知性では理解していても魂の部分では理解できていない気がする。

 

 

▶映画を観て、少し難しいことを考えたら眠くなってしまった。

昼間、あんなに爆睡したのに…。

基本、ぼんやりと日々を過ごすのが向いているようだ。

 

ありふれた日常 #12 / 話が合わない

 

▶いつものように5時過ぎに起床。

早起きだが、これと言ってやることもない。

珈琲を淹れ、ぼんやりと時間を過ごす。

YouTubeで短いサイレント映画を何本か観て、さらにぼんやりと過ごす。

そのうち、ぼんやりと過ごしているうちに、ハッと気づいたらお昼過ぎになってたりするのかも知れない。

妻に「お昼は何?」とか聞いて、「さっき食べたでしょ!」とか言われる日が来るのかも知れない。

すでにそうなってるのかも知れない。

 

先日、わたしの誕生日に年若い友人夫婦(30代前半、ヒップホップ好き)からLINEでお祝い動画が送られてきたのだが、そこで「〇〇さん、長生きしてくださいね~」とか言われてて、少し愕然とした。

わたしも、とうとう「長生きしてください」とか言われる歳になったのかと思うと、なかなか感慨深いものがある。

 

 

Amazon Prime で『チェーンソーマン』の1話目を観る。

 

嫌いではない。

ちょっと造形が『ヴェノム』っぽい。

ポチタ可愛いけど、もう出ないのかな?

妻に、「そんなアニメ観てる年寄りなんて、めったにいないわよ “笑”」と言われる。

まあ、そうだろうナ。

わたしは、同年代とは話が合わない。

 

 

▶朝食のあと、少し散歩に出る。

喉が渇いたので、セブン-イレブンに寄ってセブンブランドの烏龍茶を買う。

以前は税込み100円だったのに、いつの間にか税抜き100円になっていた…。

セブンの値上げの仕方って、なんか姑息なかんじがして嫌だ。

 

児童公園のベンチに座って、少し読書。

わたしが『カラマーゾフの兄弟』を読んでいるちかくでは、小さい姉妹がキャッキャッ笑いながら砂場遊びをしている。

カラマーゾフたちの哲学談義と、小さな女の子たちの砂場遊びが噛み合わず、わたしの脳が軽くバグる “笑”。

 

 

▶(まだ食べてないはずの)昼食を食べ、少し昼寝する。

食べてすぐ寝ると牛になるらしいが、牛としての生活も悪くない気がする。

起きて、映画を1本。

Netflix Original の『スランバーランド』(2022)。


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亡くなった父親に会うために夢の国スランバーランドを彷徨う少女ニモ。

旅の相棒は、豚のぬいぐるみピッグと、謎の無法者フィリップ。

果たしてニモは、スランバーランドの奥深くに隠された魔法の真珠を手にし、亡くなった父親に会うことができるのか…?

 

こう云う、頭を空っぽにして楽しめる映画を無性に観たくなる日がある。

まあ、わざわざ空っぽにしなくても、通常運転で空っぽではあるのだが。

映画通(シネマディクト)を自称するひとのなかには、こういう軽い映画をバカにするひとがいるけど、そういう人とは話が合わないだろうなぁ。

 

 

▶競馬は、ジャパンカップ


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馬券は当たったが、たいしてプラスにはならず、ほぼ元返しである。

2着にきたシャフリヤールから馬連で5点流したのだが、わたしにしては買いすぎである。

いつもは3点買いなので、2点多い。

絞り切れなかったのよなぁ…。

修行が足りん(いいかげん修行を積んだつもりなんだがw)。

 

ありふれた日常 #11 / 「シネマスクエアとうきゅう」の思い出など

 

▶5時に目覚める。

寒い。

おまけに雨だ。

腰が痛い。

変なふうに腰を捻らないように、そろりそろりと起き上がり、なんとか台所へ。

珈琲を淹れ、テーブルに座り、いつものようにしばらくぼんやりと過ごす。

 

腰を傷めてからは、軽い気持ちで映画館には行けなくなった。

あの座り心地の悪い椅子に2時間ちかく座り続けるのは、わたしにとって苦行以外のなにものでもない。

観終わったあと1週間は確実に寝込むことになる。

そこまでして観たい映画など、いまのわたしには存在しない。

なによりも腰の安寧がいちばんなのだ。

 

映画館の椅子で思いだしたのだが、むかし新宿コマ劇場の隣(歌舞伎町1丁目)に「シネマスクエアとうきゅう」という素敵な映画館があって(1981年オープン、2014年末で閉館)、そこの椅子が、とにかく素晴らしかった。

幅も十分に広く、座り心地も柔らかい。

背もたれが軽く後ろに倒されていて、うかうかしてるとそのまま寝てしまうほど気持ちが良かった。

上映される映画のほとんどが文芸の香り高い作品ばかりだったので、じっさい寝息をたてている人もけっこういた。

ヘルツォークの『フィッツカラルド』を観たとき、わたしの目の前にすわったひとが上映開始5分後に寝息をたて始めたのには驚いた(帰りにしっかりパンフを買っていて、なんかおかしかった)。

www.cinema-st.com

ja.wikipedia.org

 

 

▶顔を真っ赤にしながら思い切って書くが、「シネマスクエアとうきゅう」は、わたしにとって青春の場所だった。

シネスクで観た映画の多くによって、わたしの映画的嗜好が形作られて現在に到るわけである。

 

ネットでシネスクについて調べていたら、上映作品リストをアップしているひとがいた(ありがたい)。

珈琲を飲みながら、ゆっくりと見ていく。

kabipa.blog22.fc2.com

 

わたしは3本目の『デュエリスト』(リドリー・スコット監督のデビュー作)から通いはじめて、トラン・アン・ユン監督の『青いパパイヤの香り』まではぜんぶ観てるなぁ。

そのあとは観てない作品が徐々に増えていく。

68番目に『Aサインデイズ』とあるが…わたしの記憶のなかでは違う映画館で観たことになっている…たぶんわたしの記憶違いだな(良い作品だった)。

 

ひと作品ごとに思い出があり、作品名を見るだけでどう言う映画だったが思い出せる。

さいきん観た映画などすぐに忘れてしまうのだが…。

リストを見ながら遠い記憶に浸っていると、妻が起きてきて「なにニヤニヤしてるの?」と言う。

ふむ。思わずニヤニヤしてしまっていたか。

なんだか恥ずかしくなり、「いや別に」とごまかして、いつものように蕎麦をすすった。

妻とシネスクに行ったことはない。

 

 

▶Caravan Palaceの『<|°_°|>』を聴く。

<I°_°I>

<I°_°I>

  • Caravan Palace
  • エレクトロニック
  • ¥1222

 

フランスのエレクトロスウィング・バンド。


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MVも楽しい。

猫さんたち、可愛くて強い。


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かれらのチャンネルでたくさん観ることができる。

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バスター・キートンの傑作『大列車追跡 (The General)』(1926)を観る。


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久しぶりに観たけど、やっぱ凄いな。

バースター・キートンの動きは、すべてがコミカルで、しかもすべてがノースタント。

天才ですね。

後半は、逃げる列車vs追跡する列車のトレイン・チェイス

クライマックスで、追跡する列車が、高架橋から川に向かって派手に落下するショットがあるのだが、当時はCGなどないのでリアルに機関車を川に落としている。

いま観ても凄いショットだ。

もちろん一発撮り。

落ちた列車は引き上げられることはなく、第二次世界大戦で鉄として再利用されるまで川に落ちたままだったらしい。

 

蓮見重彦がどこかで、「バスター・キートンの動きを継承した人はいない」と書いていたが、ジャッキー・チェンが継承者ではないかとわたしは思っている。

 

 

 

ありふれた日常 #10 / けっきょく外差しで決まるのね

 

▶5時に起き、熱い珈琲を飲みながら『カラマーゾフの兄弟1』を10頁読む。

あと100頁ほどで1巻目が終わりそうなのだが、まだ物語がまったく動いていないことに驚く。

巨大な客船が、ゆっくりと港を出て行く感じ。

なんだろう、この威風堂々感。

 

 

▶軽い映画が観たくて(まあ、いつも軽い映画ばかり観ているのだが)、『しあわせへのまわり道』を観る。

 

2014年制作のアメリカ映画。

まったく同じ邦題でトム・ハンクス主演の作品があるが、こちらはベン・キングズレー主演。

原題は「Learning to Drive」。

邦題は、酷い。

 

ベン・キングズレー演じるダルワーンはインドから迫害を逃れてアメリカに政治亡命した敬虔なシク教徒。

インドでは大学教授の職にあったが、ニュー・ヨークではタクシー・ドライバー兼個人レッスンの自動車教習官として生計を立てながら、つつましく暮らしている。

パトリシア・クラークソン演じるウェンディが、夫に離婚を切り出された日に、たまたまダルワーンのタクシーに乗り合わせたことからストーリーが始まる。

 

夫と離婚し、進むべき道を探しているウェンディと、故郷から花嫁を迎えたものの結婚生活にとまどいを覚え悩んでいるダルワーンとの友情(そしてかすかに愛情)の物語。

軽いコメディからと思ったら、けっこうシリアスな作品だった。

シリアスと言っても、ズシンと腹にひびくような作品ではないが。

邦題は、酷い(2回目)。

 

 

▶『ジーキル博士とハイド氏』を読む。

 

“ジキルとハイド”は、二重人格の代名詞ようになっているので、内容を知らない人はほとんどいないと思うが、じっさいにこの名作を読んでいる人となると、あまりいないのではないか。

まあ、世の名作なんてみんなそんなものだが。

 

文庫本にして130頁ほど。

あっと言う間に読み終わってしまう。

物語は弁護士であるアタスンの視点で語られていく。

友人である医師ジーキル博士のもとに出入りするハイド氏なる人物に興味を抱いたアタスンは、秘かにハイド氏について調べ始める。

が、ハイド氏がいったい何者なのか、まったくわからない。

目にしただけで邪悪な感じがし、言い知れぬ不快感を人に与えるハイド氏と、善良高潔なジーキル博士が、なぜ知り合いなのかも謎のままだ。

 

有名な話なのでネタをばらすが、ジーキル博士が自ら調合した薬によって、自分のなかの悪の部分をハイド氏として分離させ、日頃は抑圧させている欲望を全解放して、悪のかぎりをつくしていたのである。

が、あるときハイド氏になる薬を飲んでいないにもかかわらず、寝て起きたらハイド氏になっているという現象が起きてしまう。

ジーキル博士は慌てて元の姿に戻る薬を飲むが、その薬も徐々に効かなくなる。

善のジーキル博士よりも、悪のハイド氏の方が強くなっていくのである。

殺人をおかしても平然としているハイド氏の存在に悩むジーキル博士(まあ自分の行いなわけだけど)。

薬もまったく効かなくなり、最後はジーキル博士とハイド氏との闘いとなる。

 

1886年明治19年)、著者36歳のときの作品である(3年前に名作「宝島」を発表している)。

作品はベストセラーとなり、1年後には戯曲化され(いまで言うと映像化されたってことかな)、この劇場版も大ヒットした。

ちなみに、『ジーキル博士とハイド氏』が出版されて2年後に、ロンドン市民を恐怖に震え上がらせた“切り裂きジャック事件”が起きている。

これは想像だが、当時のひとは、謎の切り裂きジャックにハイド氏の姿を重ねていたかも知れない。

 

ストーリーは、いま読んでも抜群に面白い。

とくにラストの、ジーキル博士とハイド氏との闘いは凄い迫力。

ベストセラーになったのもうなずける。

 

 

▶昼食後、少し昼寝をしようと思ったのだが、なかなか寝付けずに困る。

すごく眠いのだが、まったく眠れない。

以前、行きつけの漢方医から「寝るのにも体力を使うので、老人になると眠るのがひと仕事になる」と聞かされたことがあって、そのときはわたしもまだ若かったので(たしか50代)、医者の言ってることがいまいちピンとこなかったのだが、今ならすごくよくわかる。

よく老人たちが「朝早く目が覚めてしまって困るわい…」と話しているのを聞いて、活動時間が増えて良いじゃないか、と若い頃のわたしは思っていたが、そういうことじゃないってことが、じっさい自分が老人になってみるとよくわかる。

“朝早く、すっきりと目覚める”のと、“朝早く、眠れなくてしかたなく目覚める”とでは、まったく違うのだ。

眠れなくてしかたなく目覚めた場合、疲れはまったくとれてなくて、眠気は残っているので、その後すっきりと活動なんてできないのである。

 

セントジョーンズワートとか飲めば良いのだろうか…?

 

 

▶アヌーシュカ・シャンカール(Anoushka Shankar)の『Reflections』を聴く。

Reflections

Reflections

  • アヌーシュカ・シャンカール
  • クラシック
  • ¥1935

 

シタールの名手ラヴィ・シャンカールの娘。

ノラ・ジョーンズとは異母姉妹にあたる。

ラヴィの才能の遺伝子、どれだけ濃いんだよ。

 


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ノラ・ジョーンズとの共演。


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レーベルがクラシックのグラムフォンなんやねぇ。

けっこうポップなんだが。

 

 

▶競馬は、エリザベス女王杯

ここから年末まで怒涛のG-Iラッシュである。

金がいくらあっても足りないが、勝てば良いのであるよ、勝てば。

と言うことで、本命13番のウインマリリンで勝負したのだが…。

う~ん、惜しいなぁ。

2着と3着の組み合わせ(馬連)は買ってるんだが、1着のジェラルディーナを買ってない。

って言うか、けっきょく外差しで決まるのね。

トラックバイアス、大事やね。


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まっ、いつかは当たるさ。

穴党は、基本いつも外しているので、外れたときのメンタルは本命党より強いのだ。

 

ありふれた日常 #9 / わたしは、いろんなことをすぐに忘れる

 

▶5時に起き、いつものように珈琲を飲みながら、小一時間ぼんやりと過ごす(モーニング・ルーティーンってやつ?)。

さいきん、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を毎日少しずつ読んでいる。

 

ほんとに少しずつで、今朝は文庫本で10頁ほど。

読んでいるのは、賛否両論ある光文社古典新訳文庫版である。

いまの読書ペースだと、読み終わるまでに1年ほどかかる計算になるが、まあ大長編だし、こういうペースがちょうど良い気もしている。

さいしょに読んだのは高校2年の夏休みで、憑かれたように1週間ほどで読み終わった記憶がある。

あの“熱”は、いったい何だったんだろう…。

いまはすっかり燃え尽きてますが。

 

ネットには、『カラマーゾフの兄弟』や『罪と罰』のあらすじを紹介した動画やブログが溢れているが、それはたんなる知識であって、体験ではないんだよなぁ。

小説や映画をいくら知識でとらえても、それはまったく意味のない行為で、そこから得られるものなど、ほぼゼロに等しいと思っている。

カラマーゾフの兄弟』のあらすじを知っていることと、読み始めてはみたが最初の50頁で挫折したという体験を比べるなら、後者のほうがはるかに尊いのだ。

最初の50頁で挫折したひとは、「カラマーゾフ? 読んだよ。最初の50頁で挫折したけどね」と言うことができて、それはもう“『カラマーゾフの兄弟』を読んだ”と言っても過言ではないのだ。

 

 

▶朝食を食べたあと映画を一本。

エルンスト・ルビッチ監督の『生活の設計』。

 

1933年制作のフランス映画。

最初からルビッチ、最後までルビッチ!

列車のなかで偶然出会った3人の男女。

売れない劇作家のトム(フレデリック・マーチ)と売れない画家のジョージ(ゲイリー・クーパー)と広告デザイナーのジルダ(ミリアム・ホプキンス)。

意気投合(と言うか、男ふたりがジルダに惚れてしまう)した3人はひとつ屋根の下に暮らすことになる。

ジルダが言う「ノー・セックスよ」がなかなかカッコ良い。

その後ジルダは、トムとくっついたり、ジョージとくっついたり、いろいろ忙しい。

こういう“艶笑譚”を作らせると、フランス人はめちゃくちゃ巧いな。

艶笑的な国民なのか?

なんだよ、艶笑的ってw

 

 

▶ちかくのお寺まで散歩。

わたしが住んでいる街は、やたらとお寺が多くて、寺の隣に寺、その隣にマック、その隣にまた寺…みたいなかんじ。

そのせいか街の風情は落ち着いている。

高いマンションも少ないし。

 

境内のベンチに座ってぼんやり過ごす(ぼんやりしてばかり)。

耳からは、Lake Street Diveの『Bad Self Portraits』(2014)。

Bad Self Portraits

Bad Self Portraits

 

ジャズとかカントリーとか、いろんな音楽が混じりあって唯一無二のサウンド


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油断してると、キーボード奏者がスティービー・ワンダーばりの美声を響かせる 。

 


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トラヴェリング・ウィルベリーズのカバー。

元ネタに合わせて、変装してますね。

楽しそうでなにより。

ちなみに元ネタはこちら。

 


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▶4回目のコロナ・ワクチン接種券が来ているのだが、受けるかどうか少し躊躇している。

わたしは、反ワクでも信ワクでもないが、さいきんも40代の女性が接種後5分で体調が悪くなり、その後死亡したと言うニュースが流れたりして、少々不安になっているのである。

コロナには、いちど感染しているので、あの苦しみ(ほんとうに酷かった)をまた繰り返すのは嫌なのだが、ワクチンで死んじゃうのも、もちろん嫌なのだ。

コロナ・ワクチンには、なんだか隠されている部分があるような気がして、ちょっとモヤモヤしてるのよなぁ。

どうしたものやら。

 

 

▶競馬。

アルゼンチン共和国杯」は、8枠の3頭(ヒートオンビート、ハーツイストワール、ボスジラ)の馬連3点買い。

あと17番ハーツイストワールの単勝

惜しかったな。

1着に来た7番ブレークアップは、ちょっとだけ気になったのだが、すぐに忘れてしまったw

わたしは、いろんなことを、すぐに忘れる。


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ボスジラくん、白くて目立ってるな。

もうちょい前行かんかいw

ありふれた日常 #8 / ミラボー橋の下をセーヌは流れ、わたしは残る

 

▶6時半起床。

いつもより遅い。

昨夜の就寝時間はいつもと同じなので、いつもよりたくさん寝たことになるのだが、朝のぼんやり度はたいして変わらない。

いつものように珈琲。

愛飲しているセブンイレブンのオリジナルブレンドが、値段が変わらないまま容量が100グラム減っていた。

実質値上げ。

こういうのは、なんかモヤモヤする。

 

 

▶『トップガン / マーヴェリック』(2022)を観る。

 

面白かった。

ご都合主義満載でツッコミどころだらけなのだが、そんなことはどうでも良い。

自分が、かつてどのように映画を楽しんでいたかを思い出させてくれた。

映画は、基本的には“娯楽”なんだと言うことを再認識した。

まあ、そう言う部分を指して、ゴダールは「このままだと映画は幼児のままで終わる」と言ったのかも知れないが、それはまあそれとして。

 

珍しく続けて2回観た。

2回目も面白かった。

トム・クルーズがとにかくかっこ良い。

自分がどれだけかっこ良いか、どうすれば自分がかっこ良く見えるかを的確に把握している数少ない俳優のひとりだと思う。

クリント・イーストウッド御大もそう)

できれば、いまは亡きトニー・スコット監督(前作の監督)で撮ってほしかったけどね。

 

 

▶ジャックドールにいちばん向いている騎手は武豊だと思う。

競馬の話です。

 

わたしはいつも、馬連の3頭ボックス(A,B,Cの馬の組み合わせすべてを買う)と、その中の1頭の単勝を買う。

こんかいは、◎(本命)イクイノックス、〇(対抗)ジャックドール ▶(穴)パンサラッサの3点買いで、単勝はパンサラッサ。

いやあ、面白いレースだった。

大逃げのパンサラッサが後続を10馬身ちかく離して直線に入って来たときには、このまま勝てるのではないかと思ったが、さすがに府中の直線は長かった…。


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それにしても藤岡くんよ…。

直線に向いてからのヨーイドンの差し脚勝負で、イクイノックスに勝てるとでも?

 

 

天皇賞で興奮したので、頭を鎮めるために散歩に出る。

ぶらぶらと谷中銀座を散策。

この商店街、地元のひとが使っているのは、弁当屋とか八百屋とかスーパーとか5店舗くらいしかないのではないか。

あとは土日祝に来る観光客目当ての店ばかりだ。

わたしが住み始めた30年前は、いかにも下町の商店街というかんじで、もう少し落ち着いていたのだが…。

時代は変わる。

 

 

▶駅前のサンマルクカフェで休憩。

以前ここはドトールだったなぁと、むかしを思い出す。

ちかくに珈琲館もあったな。

サンマクルカフェの対面には「おべんとう一番」というちいさなお弁当屋があって、そこのお弁当にはかならずパイナップルの切れ端が入っていて、それは主人が沖縄県出身だからだと言う変な噂があった。

いま今川焼屋になっている場所には、大学芋の専門店があって、いつもおじいちゃんが座って店番をしていた(浅草から通っているって話だった)。

街の風景はいつの間にか変わっていく。

ミラボー橋の下をセーヌは流れ、わたしは残る。

こんなにも昔のことを思い出すと言うことは、近々死ぬのでしょうか、わたしw。