▶ヘミングウェイの『北ミシガンで』を読む。
清楚の女性が武骨な男に恋心を抱き、ある夜散歩に誘われ、初体験をする。
それだけの話しである。
書かれたのは1922年。しかし性描写の露骨さがネックとなり(いまから見るとたいしたことはないのだが)、日の目を見るまでに15年を要している。
おそらく、アメリカのどこにでもあった話しである。
もっと言えば、世界中のどこにでもころがっているような話しである。
しかし、ヘミングウェイが書いたことにより、鍛冶職人ジム・ギルモーとウェイトレスのリズ・コーツの姿は、永遠のなかに刻まれることになった。
物語はない。
物語があるのは、ここに描かれたエピソードの前であり、後である。
それは、読み手である我々の想像の中にある。
主演は、まだ顔が整っていた頃のミッキー・ローク。共演がロバート・デ・ニーロ。
デ・ニーロのゆで卵の食べ方がすげぇ怖い(笑)。
消えた人気歌手の行方を私立探偵のM・ロークが追う。
ハードボイルドなストーリーが、デ・ニーロがゆで卵を食べるあたりから、徐々にホラーへと変わっていくのだ。