単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

「人情紙風船」を観る。いやあ、凄いなこれは。

 

▶相変わらず、夜の眠りが浅い。

今朝も、明け方4時頃に起きてしまう。

しかたないので、例によって古臭い映画を観る。

 

山中貞雄監督の遺作『人情紙風船』。

人情紙風船 [DVD]

人情紙風船 [DVD]

  • 発売日: 2011/02/14
  • メディア: DVD
 

 

小学生の頃、NHKかなんかで観た記憶が薄っすらとあるだけで、どういう話かは知らずに観た。

いやあ、凄いなこれは。

 

江戸の貧乏長屋。

浪人者が首をくくり、その弔いで長屋の住人がどんちゃん騒ぎを繰り広げる。

ふむ、貧乏長屋の人情噺なわけね、と思いながら観ていると、話はどんどん妙な方向にずれて行く。

富めるものと貧しいものとの格差。

貧しい人たちの矜持。

貧しさからなんとか這い上がろうとする侍とその挫折。

そういう重いテーマを、ふわふわと漂うように描きながら、衝撃のラストへとつなげていく。

 

山中貞雄、28歳の作品。

映画公開の当日に召集令状が届き、戦地へ。

そして帰らぬ人となる。

生きていれば、間違いなく黒澤や小津と並び称される監督になっていただろう。

 

ちなみに、主役の侍(海野又十郎)を演じた河原崎長十郎は、妻役の山岸しづ江と実生活でも夫婦となり、生まれた息子たちが、河原崎長一郎、次郎、健三(みんな役者ですね)である。

山岸しづ江の妹の娘が、岩下志麻ってのには、ちょっとびっくり。

 

 

 

▶続いて、なにを思ったか『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観てしまう(笑)。

アタック・オブ・ザ・キラートマト [DVD]

アタック・オブ・ザ・キラートマト [DVD]

  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: DVD
 

 

いやあ、酷いなこれは。

冒頭、次のような字幕が出る。

かつて、ヒッチコックが「鳥」という映画を撮ったとき、人々は、鳥が人間を襲うわけねーじゃんと笑ったが、そう言う事件がじっさいに起きると、誰も笑わなくなった…。

で、トマトが人間を襲うのである。

赤いトマトがころころと人間に迫り、人間が悲鳴をあげてトマトに食われてしまうのだ。

話が雑すぎるわ(笑)。

特撮も学芸会レベルだし。

役者の演技も素人臭いし。

ここまで酷いと、なんかアート作品に思えてくるから不思議だ。

どんなアートだよ、とは思うが。

 

調べてみると、なんと続編も出ている。

さらに驚いたことに(今日、いちばん驚いた)準主役としてジョージ・クルーニーがでている!

もちろん不遇をかこっていた下積み時代の話だ。

かれがTVドラマ「ER」でブレイクする6年ほど前のことである。

苦労したんだね、ジョージ。

 

 

ジョージ・クルーニーの人生に思いをはせながら、ピタパンにサラダを挟んで遅い朝食。

東スポを睨みながら競馬予想をするも、かたく収まりそうでやる気が起きない。

なんだか、だらだらと時間が過ぎていく。

こうやって、だらだらと人生も過ぎていくのかな…?

いかん、いかん。

ジョージ・クルーニーの人生に思いをはせている場合ではない。

奴はセレブだ。

自分の人生に思いをはせないとね。

はせたところで、どうなるものでもないのだが(笑)。