単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

ありふれた日常 #26 / エゴン・シーレ展を見に行く

 

▶午前5時起床。

いつものように珈琲を飲みながら、しばらくぼんやりと過ごす。

このぼんやりと過ごす時間を、ときどき「もったいないな」と思ったりもするが、じゃあ、ぼんやりしないで何をするのかと言えば、けっきょく何もしないので、べつにもったいなくはないのだ(うだうだと何を言ってるのか、自分でもよくわからんが)。

 

 

▶映画を1本。

ジャン・ルノワール監督の『ゲームの規則』(1939)。

 

“惚れたはれた”の群像劇。

「一分の隙も無い」とは、こういう映画のことを言うのだろうな。

脚本も映像も間然するところがない。

しかし“面白い”よりも“凄いな”が先にたって、純粋には楽しめなかった。

喜劇が悲劇で、悲劇が喜劇なあたり、これはシェイクスピアなんだろうなぁ。

道化も出てきて、舞台を引っ掻き回すし。

 

 

▶雨の中、歩いて上野の東京都美術館へ。

エゴン・シーレ展」を観る。

 

20歳にしてすでに画風が完成されている。

天才やね。

死後に評価されたわけじゃなく、生前に高評価を受け、これからというときに、妊娠中の妻と共にスペイン風邪で亡くなっている。

享年28歳。

若すぎる。

 

ドローイングが、驚くほど巧い。

ちょっと神がかっていて、鳥肌がたった。

1本の線で、対象のすべてが描けてしまうって、どういう気分なんだろう?

ジャンルは違うが、才能の在り方が、若き日の(パリ時代の)ヘミングウェイと似てる気がした。

 

 

シーレの絵をたくさん見たかったのだが、同時代の画家の絵で水増しされた感じで、展覧会としては、少し消化不良気味である。

 

アメ横で寿司を食べ、降ったりやんだりの雨の中、歩いて帰る。

 

 

▶ホセ・ジェイムズの『On and On』(2023)を聴く。

On & On: José James Sings Badu

On & On: José James Sings Badu

  • ホセ・ジェイムズ
  • ジャズ
  • ¥1528

 

エリカ・パドゥの曲を歌ったカヴァー集。

相変わらず良い声だなぁ。


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キーボードは平野雅之(BIGYUKI)。

 


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むかしからカッケー。

 

 

▶寝る前に、寺田虎彦の随筆を少し読む。

 

寺田寅彦は、天才ではない。

夏目漱石や内田百閒と同じく漱石門下だが、かれらのように才気走った感じはない。

小説家ではなかったせいかも知れないが、それだけに文章は柔らかく、読み手のこころに水のように沁み込んでくる。

なにしろ、天気が良い日に妻と歩きながら、「人間の心が蒸発して霞(かすみ)になりそうな日だね」とか言っちゃうようなひとなのである。

こんな優しい言葉を、わたしも呟いてみたいものです。

寝る前に読むには最適の文集。