単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『霊魂の不滅』を観る。そして、息をつめて読む本。

 

▶『霊魂の不滅』を観る。

1921年制作のスウェーデン映画。

モノクロ・サイレント映画

 

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監督は、スウェーデン映画の父と称されるヴィクトル・シェストレム。

主演もシェストレム自身である。

Amazon Prime で観ることができるのだが、字幕の翻訳があまりにひどくて5分で挫折。

(まったく日本語になっていないのだ)

YouTube を探したら、ちゃんとした日本語字幕のついた高画質の映像がアップされていたので、そちらで鑑賞。

お勉強のつもりで観たのだが、意外なことに、すごく面白かった。

 

救世軍の若きシスターが重い結核で死の床に臥せっている。

側には母親と同僚のシスターがついている。

同僚が声をかけると、瀕死のシスターが目を覚まし「デヴィッド・ホルムを連れてきて!」と言う。

驚く母親と同僚…。

 

デヴィッド・ホルムは、飲んだくれのクズ男である。

晦日の今夜も、友人たちと墓場で(!)飲んだくれている。

あと10分ほどで年が明けるという頃、デヴィッドは友人たちに「幻の馬車」の話をする。

それは、デイヴィッドの友人ジョルジュが話してくれたことなのだが、大晦日のいちばん最後に亡くなった人は、それから1年間死神の下僕となり、幻の馬車の御者として働かなくてはならないと言うのだ。

1年後、次の死者に役目を引き継ぐまで、死んだひとの魂を運び続けなければならないのである。

そして、その話をしてくれたジョルジュが昨年の大晦日に亡くなっているのだと…。

 

そんな話をしているところに、男がやってきて「危篤のシスターが呼んでいるから、すぐに来い」とデヴィッドに声をかける。

行きたくない、と断るデイヴィッド。

友人たちも「行った方が良い」と、無理やりデイヴィッドを行かせようとするのだが、いつの間にか取っ組み合いの喧嘩となり、ひとりが酒瓶でデイヴィッドの頭を殴って殺してしまう。

あわてて逃げ去る友人たち。

そこへ、幻の馬車がやって来る…。

幻の馬車から降りて来た御者は、ジョルジュだった。

「次の御者が、デイヴィッド、お前とはな…」と驚くジョルジュ。

 

ここから、フラッシュバックで、デイヴィッドのクズ人生が語られる。

働き者で、善良な夫であったデイヴィッドの転落人生である。

その転落の過程で、いま死の床にいるシスターとも知り合うことになる。

危篤のシスターが、なぜデイヴィッドに来てもらいたがっているのか、その謎も徐々に解けていく…。

 

フラッシュバックを多用したストーリー構成の素晴らしさ、二重露光を駆使したトリック撮影など、後の映画に与えた影響はかなり大きい(らしい)。

 

キューブリックの『シャイニング』に影響を与えたとされる、有名なシーン。

 


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ここは、マジで怖い。

 

亡霊となった友人が、おなじく死者となった主人公に、人生のひどい部分を見せてまわって改心させるという構成は、ディケンズの「クリスマス・キャロル」と似てるかな。

あちらより少し寒々としているのは、北欧だからか。

 

つまらなければ早回しで観ようと、じつに不埒な考えで観始めたのだが、いちども早回しすることなく観終わった。

映画史に残るような傑作に言うことばではないが、意外な拾い物だった。

それにしても、「霊魂の不滅」って邦題は少し大仰かなぁ。

 

 

 

▶ Dua Lipa の『Future Nostalgia(The Moonlight Edition)』(2021)を聴く。

 

Future Nostalgia (The Moonlight Edition)

Future Nostalgia (The Moonlight Edition)

  • Dua Lipa
  • ポップ
  • ¥2139

 

声が好き。

まあ、あれだ、声も好きって言うか、いろいろ好きなわけだ。

 


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しかし、さいきんのミュージック・ビデオは、いろんな技を駆使しているなぁ。

 

 

 

吉見俊哉著の『平成時代』(岩波新書)を半分まで読む。

 

 

平成の30年間を「壮大な失敗」の時代と位置づけ、日本がボロボロに崩れて今に至る過程を詳細に分析していく。

読んでいて辛いが、目が離せない。

息をつめて読む。