単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

短編小説パラダイス #6 / 松本清張の『蓆(むしろ)』

タイトル : 蓆(むしろ)

著者 : 松本清張

収録短篇集 : 『松本清張短編全集 04 / 殺意』

出版社 : 光文社 / 文庫

殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)

殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)

 

 松本清張は、社会派ミステリーの巨匠として有名だが、ミステリー以外にも面白い時代物をたくさん書いる。この「蓆(むしろ)」も、そういう作品のひとつ。

 

 では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #5 / 内田洋子の『僕とタンゴを踊ってくれたら』

 

タイトル :僕とタンゴを踊ってくれたら

著者 : 内田洋子

収録短篇集 : 『ジーノの家』

出版社 : 文藝春秋

ジーノの家―イタリア10景 (文春文庫)

ジーノの家―イタリア10景 (文春文庫)

 

 著者は、イタリア在住30年のジャーナリスト。これは、小説ではなく随筆。事実は小説より奇なりの見本のようなお話しである。

 では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #4 / O・ヘンリーの『理想郷の短期滞在者』

タイトル :理想郷の短期滞在者

著者 : O・ヘンリー

収録短編集 : 『賢者の贈りもの / O・ヘンリー傑作選Ⅰ』

訳者 : 小川高義

出版社 : 新潮社 / 文庫

賢者の贈りもの―O・ヘンリー傑作選I―(新潮文庫)

賢者の贈りもの―O・ヘンリー傑作選I―(新潮文庫)

 

 読んだ人が幸せになるようなラブ・ストーリーを書かせたらO・ヘンリーの右に出るものはいない。

 この作品も、読み終わったあと誰もが良い気分になる。

 では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #3 / 青山文平の『ひともうらやむ』

タイトル : ひともうらやむ

著者 : 青山文平

収録書名 : 『つまをめとらば』

出版社 : 文藝春秋

つまをめとらば (文春文庫)

つまをめとらば (文春文庫)

 

 著者は、この作品が収録された短篇集で 第154直木賞を受賞。

 「ひともうらやむ」は、その冒頭におかれた作品。端整な文体と、見事な構成で読ませる。最後の一行を読んだときに、良質な短編小説に出会えた充実感でいっぱいになる。

 

では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #2 / トム・フランクリンの『密猟者たち』

 

タイトル : 密猟者たち

著者 : トム・フランクリン

収録短編集 : 『密猟者たち』

密猟者たち (創元コンテンポラリ)

密猟者たち (創元コンテンポラリ)

 

 トム・フランクリンは1963年生まれのアメリカの小説家。アラバマ州に生まれ、南部を舞台に良質な物語を描き続けている。これまでに発表した作品は、短編集が1冊に長篇が4冊とかなり寡作な作家。

 「密猟者たち」は、1999年度のエドガー賞最優秀短編賞を受賞した傑作。ジャンルとしてはミステリーに分類されるのだろうが、そのような枠組みを超えた名品。

では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #1 / 耕治人の『天上から降る哀しい音』

 

タイトル :天井から降る哀しい音

著者 : 耕治人(こうはると)

収録短篇集:『一条の光・天井から降る哀しい音』

 「天井から降る哀しい音」「どんなご縁で」「そうかもしれない」の3作をあわせて、のちに「命終三部作」と呼ばれることになる。

 三作とも、耕治人の晩年に、命を削るようにして書かれた落涙必至の名作。 

 

 文学好きでなければ知らないような、地味な作家だった耕治人は、この3部作によって、死後ささやかな注目を浴びることになる。きっかけは、NHK耕治人の死後に放映したドキュメンタリー番組「ある老作家夫婦の愛と死」。耕治人夫婦の人生を丁寧に追った番組は評判を呼び、のちに「命終三部作」は映画化もされた。

 (番組中、耕治人のことを聞かれた武者小路実篤夫人が、「そんな人、知らないね!」と吐き捨てるように言う場面にびっくりした覚えがある)

 

 では、あらすじを。

 

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