▶『エディ・コイルの友人たち』を観る。
1973年制作のアメリカ映画。
監督は、ピーター・イェーツ。
出演は、ロバート・ミッチャム、ピーター・ボイル。
ロバート・ミッチャム扮するエディ・コイルは、武器の調達屋。
昼は、運送会社に勤め、裏では犯罪者たちに銃を売りさばいている。
エディ・コイルは裁判を控えて困り果てていた。
バイト感覚でやった酒の密輸でパクられてしまい、もうすぐその判決が下るのである。
おそらくは刑務所に2年ほど入ることになりそうなのだ。
エディには、妻とふたりの幼い子供がいる。
年齢は50歳ちょっと(ロバート・ミッチャムの実年齢にちかい)。
この歳で刑務所に入るわけにはいかないのである。
そこで、自分の知っている犯罪者の情報を捜査官に流すことで、有利な判決を出してもらおうと画策するエディ。
しかし、それは犯罪組織から命を狙われることを意味してもいるのだ。
はたして、エディは無事逃げ切れることができるのか…?
★★★
映画は、エディをはじめとする“犯罪を生業にしてしまった男たち”の日常を淡々と映していく。
朝のゴミ出しをするエディ、学校に行く子供たちを見送るエディ、行きつけの酒場でビールを飲むエディ、カフェで食事をし珈琲を飲むエディ…。
まるでサラリーマンのような日常である。
が、その平凡な日常の合間に、銀行強盗を企む奴ら相手に銃を売りさばくエディ。
監督のピーター・イェーツは、マックイーン主演の名作『ブリット』でド派手なカーアクションを演出したひとだが、この作品にはアクションはまったくない。
終始、渋い。
なによりロバート・ミッチャムの佇まいが、めちゃくちゃ渋い。
中年犯罪者の悲哀を全身に漂わせている。
若い頃タフガイを演じていた俳優が、歳を重ねてから、少し弱った中年を演じると、なぜこんなにも良い味が出るんだろう。
ラストのあっけなさも良い。
観終わったあと、タイトルに込められた皮肉が胸に刺さる。
ピーター・イェーツ監督の作品では、『ブリット』をはじめ『ヤング・ゼネレーション』や『マーフィーの戦い』が有名だが、わたしはこの渋くて切ない作品がいちばん好きだ。