単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

本の本 #2 / ブログに役立つ文章読本

ブログ作成に役立つ(であろう)「文章読本」を6冊紹介。

最後の1冊は、かなり曲者だが…。

 

 

01. 『日本語の作文技術 / 本田勝一』(朝日新聞出版)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

 

 文章を書くうえでの基本のキは、この本ですべて学べる。

「修飾語の順序」「句読点のうちかた」「助詞の使い方」、この3つの章を読んで実践するだけでも文章力は格段にアップするはず。

初版が出たのが1980年代初頭だが、内容はまったく古びていない。

 

 

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短編小説パラダイス #9 / マルセル・シュウォッブの『少年十字軍』

タイトル :少年十字軍

著者 : マルセル・シュウォッブ

収録短篇集 : 『少年十字軍』

訳者 : 多田智満子

出版社 : 王国社

少年十字軍 (海外ライブラリー)

少年十字軍 (海外ライブラリー)

 

マルセル・シュウォッブは、1905年に37歳の若さで世を去ったフランスの小説家。

「少年十字軍」は、かれの天才が存分に発揮された傑作。

 

★★★

 

西暦1212年、北フランスのロワール河流域ヴァンドーム地方と、ドイツのケルンに、まったく別々にではあるが、ほぼ時を同じくして、のちに“少年十字軍(Children's Crusade)”と呼ばれることになる集団が現れた。

フランスではエティエンヌという羊飼いの少年が神の啓示を得、リーダーとなって聖地エルサレムの奪還をめざし行進を開始した。これに賛同した各地の少年たちがエティエンヌのもとに集まり、その総数は3万人ちかくにのぼったと言われる。

“聖地奪還”といっても、かれらは何の武器も持たず丸腰であり、なにより平均年齢が13歳前後の少年たちである。ボロをまとっただけの少年たちが、ぞろぞろとエルサレムをめざしたのである。

親たちは、子供たちのこの異様な行動を必死になって止めようととしたが、止めることができず、事態を憂慮した国王も少年たちに帰宅を命じたが聞き入れるものは少なかった。

 

やがて彼らはマルセイユに到着する。

ここから七艘の船に分乗して聖地をめざした。

が、この輸送を請け負った回船業者は、少年たちの聖なる行動に感動して船を用意したわけではなかった…。

回漕業者の親玉は、少年たちをアレクサンドリアに連れ去り、そこで奴隷としてイスラム圏に売りとばしてしまったのである。

  

シュウォッブの短篇は、この中世の異様な史実を、当事者の少年たちをはじめ、乞食の僧侶、ローマ法王、癩者、回船業者の秘書、回教僧など、さまざまな立場の視点から語っていく。

歴史小説といった感じはなく、ぜんたいに美しい詩情が漂う。

 

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短編小説パラダイス #8 / エルモア・レナードの『三時十分発ユマ行き』

タイトル : 三時十分発ユマ行き

著者 : エルモア・レナード

収録短編集 : 『オンブレ』

訳者 : 村上春樹

出版社 : 新潮社 / 文庫

オンブレ (新潮文庫)

オンブレ (新潮文庫)

 

 エルモア・レナードアメリカのミステリー作家。1984年に『ラブラバ』でエドガー賞(最優秀長篇賞)を受賞した他、多くのヒット作がある。日本での人気は本国に比べるといまいちだったが、根強いファンがいる。

 「三時十分発ユマ行き」は、これまでに2度映画化された西部劇の名作。

 

 では、あらすじを。

 (と言っても、あまりにシンプルなので、設定を説明しただけで終わってしまうのだが)

 

★★★

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本の本 #1 / 書評の教科書 12冊

 

 面白い書評を書くための教科書は、けっきょく優れた書評そのものなのだ。

 と言うわけで、読み応えのある書評集を12冊。

 

 

 

01. 『ニッポンの書評 / 豊崎由美』(光文社 / 新書)

ニッポンの書評 (光文社新書)

ニッポンの書評 (光文社新書)

 

  豊崎由美はプロの書評家である。作家でもなく、詩人でもなく、エッセイストでもなく、編集者でもなく、評論家でもなく、日本では数少ない“書評の専門家”である。

 この本は、豊崎由美が、自らの書評の書き方を惜しげもなく披露した1冊。

 書評家の役目から始まり、粗筋の書き方、書評の文字数、ネタばらしはどこまで許されるか、プロの書評と感想文の違いなど、書評に関するあらゆることを俎上にあげて詳しく解説していく。

 Amazonのカスタマーレビューに対する過剰とも思えるダメ出しもあり、ダメ出しをしたレビューを著者が書き直すという怖いこともやっている。

 巻末に著者と大澤聡の対談あり。

 

 

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短編小説パラダイス #7 / アンブローズ・ビアスの『アウルクリーク橋の出来事』

 

タイトル : アウルクリーク橋の出来事

著者 : アンブローズ・ビアス

収録短編集 : 『アウルクリーク橋の出来事 / 豹の眼』

訳者 : 小川高義

出版社 : 光文社 / 新訳古典文庫

アウルクリーク橋の出来事/豹の眼 (光文社古典新訳文庫)
 

 アンブローズ・ビアスは、アメリカ文学を代表する短編作家のひとり。1842年に生まれ、1913アメリカ南部の古戦場を巡る旅に出て、内線下のメキシコに入ったあと消息不明となった。

 作品のほとんどに南北戦争時の従軍体験が暗い影を落としている。

 「アウルクリーク橋の出来事」は、ビアスの代表作であるだけでなく、アメリカ文学史の中でも常に上位にランクされる名作である。

 では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #6 / 松本清張の『蓆(むしろ)』

タイトル : 蓆(むしろ)

著者 : 松本清張

収録短篇集 : 『松本清張短編全集 04 / 殺意』

出版社 : 光文社 / 文庫

殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)

殺意―松本清張短編全集〈04〉 (光文社文庫)

 

 松本清張は、社会派ミステリーの巨匠として有名だが、ミステリー以外にも面白い時代物をたくさん書いる。この「蓆(むしろ)」も、そういう作品のひとつ。

 

 では、あらすじを。

 

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短編小説パラダイス #5 / 内田洋子の『僕とタンゴを踊ってくれたら』

 

タイトル :僕とタンゴを踊ってくれたら

著者 : 内田洋子

収録短篇集 : 『ジーノの家』

出版社 : 文藝春秋

ジーノの家―イタリア10景 (文春文庫)

ジーノの家―イタリア10景 (文春文庫)

 

 著者は、イタリア在住30年のジャーナリスト。これは、小説ではなく随筆。事実は小説より奇なりの見本のようなお話しである。

 では、あらすじを。

 

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