単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『警察日記』(1955)を観る

 

 

▶『警察日記』を観る。

1955年制作の日本映画。

 

警察日記

警察日記

  • メディア: Prime Video
 

 

会津磐梯山を望む福島の片田舎を舞台にしたコメディ映画。

最初、主演の役者3人の名前がばーんと出るのだが、それが「森繁久彌伊藤雄之助三國連太郎」である。

凄い。

ちょっと怖い(笑)。

 

出演者は、主演の3人のほかに、殿山泰司、東野栄治郎、杉村春子多々良純飯田蝶子、十朱久雄、左卜全二木てるみ、そしてこれが銀幕デビューの宍戸錠……。

どんだけ豪華なんだよ。

このメンツで人情喜劇ってところが、なんとも贅沢だ。

 

冒頭、山道をボンネットバスが走るところを俯瞰で撮っているのだが、それがジオラマの中を走るプラモデルのバスにしか見えず、まったく現実感がない。
こういう風景が、かつて日本にもあったんだねぇ。

 

人の好い吉井巡査(森繁)が捨て子の姉妹の面倒をみることになったり、三國連太郎演じる若い巡査が詐欺にあった女性被害者に惚れてしまったり、ちょっとバカな岩太といいう馬車引きの青年(伊藤雄之助)が仏像泥棒と間違えられたりと、そんな小さなエピソードの積み重ねでみせていく。

これぞ人情喜劇って感じ。

ただし、戦後日本の厳しい現実(人身売買とか)が通奏低音として描かれており、ただ明るいだけの映画ではない。

事件の当事者たちが、かならずしも皆幸せになるわけではないので、ノー天気なハッピーエンド映画というわけでもない。

そういうところも含めて、良い映画だった。

 

 

 

町山智浩の「映画ムダ話」(ネット配信、1話¥220)で『テネット』の解説を聴く。

やはりキリスト教の素養があると、映画の観方が深いな。

とくに科学が発達し、 “神は死んだ”と言われるようになった近代あたりからの思想は大事なのかな。

実存主義とか。

そういうの疎いからなぁ。

 

悪役のセイターとサタン(悪魔)を結び付けて、神との対話の考察にもっていくあたり、ちょっとわくわくした。

 

 

 

▶仕事の帰り、駅の階段でけつまずく。

幸い、すぐそばを歩いてた人(30代の男性サラリーマン)がすかさずワタシの腕をつかんでくれて、バタッと倒れず事なきを得たのだが、いささか動揺してしまった。

動揺したのは、倒れそうになったからではなく、助けてくれたサラリーマンが何度も「大丈夫ですか? 大丈夫ですか?」と聞いてきたからだ。

かんぜんに老人扱いされとるがな…“泣笑”。

 

ワタシは、自分がすでに老人の域に達していると自覚しているが、それを人から指摘されると、やはり少し動揺してしまうようだ。

まだ、自分の年齢を受け入れてないようだな。

やっかいな老人 “笑”。

 

 

 

 

 

月いち映画教室の話

▶いつも通り起き、いつも通り支度をして、いつも通り外へ。

すべていつも通りなのに、今朝はなんか清々しいぞ、と思ったらマスクを忘れていた…。

あわてて取りに帰る。

 

 

▶電車の中で、Chris Issak の『Chris Issak』を聴く。

 

Chris Isaak

Chris Isaak

  • アーティスト:Isaak, Chris
  • 発売日: 2011/07/26
  • メディア: CD
 

 

デビュー2作目。

この人のアルバムは皆ジャケットが良いのだけど、これはブルース・ウェーバーが撮影している。

チェット・ベイカーのドキュメンタリーを作った人で、そのせいか、チェット・ベイカーっぽいけだるさを醸し出している。

男前やね。

 


Chris Isaak - Super Magic/Blue Hotel (Live)

 

 

▶昼食後、昼寝。

起きて、Amazon Prime で『怪獣大戦争』を観る。

 

怪獣大戦争

怪獣大戦争

  • 発売日: 2014/04/23
  • メディア: Prime Video
 

 

ゴジラ・シリーズ6作目(たぶん)。

1作目は別格として、2作目以降ではいちばん好きだ。

話題となったゴジラのシェーのポーズにも、ゴジラさんの余裕を感じる。

 

ワタシの通っていた小学校では、毎月最終土曜日の午後に「映画教室」が開かれていた。

午前の授業が終わり(昭和40年代、土曜日はまだ休みではなかったのだ)、お弁当を食べたあと、全校生が体育館に集まり、体育座りで映画を2本観せてもらった。

日頃、映画に行く習慣などないワタシたちにとって、月1回の映画教室は無上の愉しみだった。

 

ラインナップは、たいていディズニーものか怪獣ものかアニメが1本、残りの1本は大人が(つまり先生たちが)観たがるようなもの。

ディズニーの『黒ひげ大旋風』(めっちゃ面白かった!)のあとに山本薩夫監督の『戦争と人間』を観せられたときには、退屈で死にそうになったけど。

 

男の子に人気だったのは、やはり怪獣映画。

今日アマプラで観た『怪獣大戦争』も月1映画教室で初めて観た。

キングギドラの雄姿に興奮したなあ。

まっ、ゴジラにやられちゃんですけど。

 

ワタシが、本流の映画より、ちょっとチープな映画が好きなのは、この月1映画教室の影響のような気がしている。

その後、面白い映画をたくさん観たきたけど、あの頃に覚えた興奮に匹敵するような映画には、まだ出会えてない。

 

 

才能があるって凄いな

 

▶6時起床。休日。

AMAZONで買ったセージティーを飲む。

 

 

ミント系は苦手なのだが、これは美味しい。

喉にも良いらしい。

お茶とチーズで朝食。

 

 

ポール・トーマス・アンダーソン監督の傑作『マグノリア』を観る。

と言っても、ラストの1時間だけ。

これまでに5回くらい観ているので、ラストの1時間だけで十分なのだ。

 

マグノリア [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]
 

 

3時間を超える長い映画。

難解な映画としても知られる。

多くの人物の、それぞれの人生が同時に語られる。

 

男性向けモテ男養成講座を主催している男フランク・マッキー(トム・クルーズ)。

フランクの父親で、末期癌で死の床にあるアール・パートリッジ(ジェイソン・ロバーズ)。

アールの看護人フィル(フィリップ・シーモア・ホフマン)。

アールの後妻リンダ(ジュリアン・ムーア)。

人気クイズ番組の司会者ジミー・ゲイター(フィリップ・ベイカー・ホール)。

その娘でドラッグ中毒者のクローディア(メローラ・ウォルターズ)。

クローディアと偶然知り合い、彼女に惚れてしまう警官ジム・カーリングジョン・C・ライリー)。

ジミー・ゲイターが司会を務める長寿クイズ番組の天才少年スタンリー(ジェレミー・ブラックマン)

かつての天才クイズ少年ドニー・スミス(ウィリアム・H・メイシー

 

すべてがゆるくつながっていて、そのつながりが高度な緊張感を保ったまま、とんでもないラストへとなだれ込んでいく。

 

最初、映画館で観たときは、なにがなんだか良くはわからないまま、それでもかなり面白いと思った。

その後、わからないままに何度か観て、自分のなかでストンと腑に落ちる感じがあったのが10年ほど前である。

それは、何度も観たから腑に落ちたのではなく、年齢が50歳を越えたから(よーするに、ある程度齢を重ねたから)理解できるようになった気がする。

自分の年齢が、映画のテーマに追い付いた感じ。

しかし、ポール・トーマス・アンダーソン監督が、この映画を撮ったのは28歳のときである。

いやはや。

才能があるって凄いな。

 

ちなみに、『マグノリア』を観て、なるほどそう言うことか、と思えるようになったのと、夏目漱石が面白いと思えるようになったのが、ほぼ同時期なのだが、自分のなかでは、これは偶然ではない。

 

 

▶図書館。

中条省平の『決定版!フランス映画200選』など5冊ほど借りる。

フランス映画の本をぱらぱらとめくっているうちに、ジャン・ギャバン主演の「ヘッドライト」が無性に観たくなり、TSUTAYAなどを検索するも置いてる店がなく、けっきょくAMAZONでポチってしまう。

まっ、送料込みで¥2000なので、良しとするか。

なにが “良し” なのか、よくわからんが。

とりあえず、妻には見つからないようにしないと…。

先日も、DVDをたくさん買ったばかりなので、さすがに気がひけるのだ。

べつにうるさく言うタイプではないのだが、「そんなに買って、いつ見るの?」とか聞かれると返答に困るのだ。

 

 

▶夕食後、例によって眠くなる。

目覚ましに、今日借りて来た本を1冊手に取ったのだが、数行読んだだけで、さらに眠くなってしまう…。

まったく老人はこれだからな。

 

 

 

 

 

なぜか「巨人獣」のことを思い出す

 

▶5時起床。

蕎麦を食べ、出勤。

 

電車の中で、久しぶりに The Cranberries の「Wake Up And Smell The Coffee」を聴く。

 

Wake Up & Smell the Coffee

Wake Up & Smell the Coffee

  • アーティスト:Cranberries
  • 発売日: 2007/12/21
  • メディア: CD
 

 

好きなアルバムだが、チャートの成績は悪かったんだよなぁ。

このあと、バンドは10年間の長い休息に入る。

 

1999年のライブ映像。

ドロレス・オリオーダン、かっけー。

 


The Cranberries - Zombie 1999 Live Video

 

Tiny Desk Concert の映像。

アコースティックなのは嬉しいが、彼らにはちょっと狭すぎる気がする…。

 


The Cranberries: NPR Music Tiny Desk Concert

 

 

▶帰宅後、昼食。

そのあと昼寝をして(老人はすぐに眠る。が、すぐに目覚める)、起きて、Netflixの新作映画『この茫漠たる荒野で』を観る。

トム・ハンクス主演の西部劇。

ドンパチもあるが、いわゆる西部劇アクションではない。

 

トム・ハンクス演じるキッド大尉は、元南軍の兵士。

いまは新聞の読み聞かせをしながら各地を旅している。

旅の途中でひとりの少女を保護する。

家族をインディアンに殺された少女ジョハンナ。

10歳になるまで自分を拉致したインディアンと共に暮らし、インディアンの言葉しかわからない。

そのインディアンにも捨てられた少女。

キッド大尉は、成り行きから、その少女を遠くに住む親族の元まで送り届けることになる。

 

描かれるのは南北戦争後のアメリカの分断。

いまのアメリカですね。

その荒れ果てた南部を旅しながら、正しいニュースを伝えようとするキッド大尉……。

少女とキッド大尉の間に徐々に親子のような愛情が芽生えていく。

 

ラストは感動的。

少女の笑顔に救われる。

良い映画だった。

 

 

▶夕方、散歩がてら隣駅のTSUTAYAまで歩く。

新着のコーナーを覗いたら、ワーナーブラザーズの古い作品がどどんと並んでいた。

 

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 とりあえず、前から観たかった「パニック・イン・テキサスタワー」と「妖怪巨大女」など10本ほど借りてしまう。

なにが、“とりあえず”なのか、よくわからんが…。

 

「妖怪巨大女」は、宇宙人の放射線によって巨大化した女が、亭主と不倫相手に復讐しようと街を破壊しまくると言う、とんでもない映画だ。

観るのがちょっと怖い…笑。

 

 

▶夕食を食べたら、また眠くなる。

で、眠気に身を任せて寝るのだが、なかなか寝付けず、けっきょく起きてしまう。

ほぼ毎日、これのくりかえしだ。

歳をとるというのは、なかなか面倒でやっかいだな。

 

 

▶巨人と言えば、いまでは「進撃の巨人」あたりなんだろうけど、その昔「巨人獣」という凄いコミックがあったのだ。

 

巨人獣 第1話

巨人獣 第1話

 

 

ごくありふれた青年が、、ある日突然巨人化してしまう。

最初は身長10メートルくらいだったのだが、強大化は止まらず、最終的には身長50メートルにも達してしまう(ウルトラマンかよ)。

はじめは青年に同情的だった人々だが、巨人の食べ物とか、あるいは排泄のもんだいとかに直面し、じょじょに青年をうとましく思うようになる。

わけもわからず巨大化してしまった青年は、とうぜん孤独にむしばまれていく。

わけもなく暴れ、ひとびとはパニックに襲われる。

が、そのとき第2の巨人が現れる。

しかも女性だ!

青年のこころに一条の希望の光が差し込むのである。

が、国家は密かにふたりの抹殺を計画していた…。

 

ラストは、まったく救いのない終わり方をするんだが…。

 

 

 

これと言って、感想も思い浮かばない…

▶5時起床。

眠い。

珈琲を飲みながら、自分の人生について5秒をほど考える。

これと言って何も思い浮かばないので、蕎麦を食べて出勤。

今日は土曜日だけど、隔週で仕事なのだ。

 

 

▶電車のなかで、いつもなら Spotify で音楽を聴くのだが、今日は  Amazon Prime で「VHSを巻き戻せ!」というドキュメンタリーを少し観る。

 

VHSテープを巻き戻せ!

VHSテープを巻き戻せ!

  • メディア: Prime Video
 

 

いまや死滅してしまったVHSに対する愛を語ったドキュメンタリー。

 

紹介されている映画が、「バスケット・ケース」とか「悪魔の毒々モンスター」とか、そんなものばかりで、いささかげんなりする。

 

 

▶昼食後、「VHSを巻き戻せ!」の続き。

アメリカのVHSオタクたちがたくさん出てきて、VHSに対する愛を語る。

日本からは、バクシーシ山下とか、藤木TDCとか、あと押井守も出ている(相変わらず、なにを言ってるのかわからないが…笑)。

 

いちおう最後まで観たが、たいして面白くはなかったなあ。

これと言って、感想も思い浮かばない…。

 

しかし、VHS愛を熱く語るドキュメンタリー作品が、Amazon Prime という動画配信サービスでのみ観ることが出来るというのは、なんか皮肉。

 

 

U2他が参加したトリビュート・アルバム「Instant Karma」を聴きながら読書。

 

Instant Karma: Amnesty International Campaign

Instant Karma: Amnesty International Campaign

  • アーティスト:Various Artists
  • 発売日: 2007/06/12
  • メディア: CD
 

 

ジョン・レノンのソロ時代の名曲をU2R.E.M.Corinne Bailey Rae らがプレイしている。

皆それぞれに良いのだが、おおっ、って思ったのはクリスティーナ・アギレラの Mother 。

予想外に良かった。

日頃、クリスティーナ・アギレラなんて聴かないので、新鮮だったってのもあるが。

 

アギレラはこんな感じ。

 


Christina Aguilera - Candyman (Official Music Video)

 

完璧にショービジネス的プロフェッショナルですね。

 

Mother はこれ。

音声だけ。

 


Christina Aguilera - Mother (John Lennon Cover) InstantKarma

 

 

▶読書は、池澤夏樹池澤春菜の『ぜんぶ本の話』。

 

ぜんぶ本の話

ぜんぶ本の話

 

 

タイトル通り本について父娘で対談している。

あきれるほど本を読んでいる親子なので、次から次に書名が出てくる。

こういう本はどうしてもメモをとりながら読んでしまうので、読むスピードが極端に遅くなる。

途中で図書館にあるかどうか検索したり、ブックオフで探したりするのでなおさらだ。

 

 

▶「岡田幸文」をグーグルで検索すると、わたしの知らない野球選手が多くヒットする。

おそらく世間的にはそうなんだろうけど、わたしにとって「岡田幸文」は詩人である。

そして、岡田幸文は、詩専門の出版社ミッドナイト・プレスの社主でもあった。

このちいさな出版社が出していた雑誌(たとえば「詩の雑誌」とか)の編集後記を読むことが、若い頃のわたしには楽しみだった。

 

 

いま、ミッドナイト・プレスのホームページで(ちょっとわかり辛いホームページだが)、その編集後記を少しずつ読んでいる。

とくに「詩学」(他の出版社だが)の頃の編集後記が良い。

詩を読んでいるような気分になる。

 

 

「太陽系最後の日」と「最後の追跡」とチック・コリア

▶休日。

にもかかわらず5時起床。

早く起きても、これと言ってやることはなし。

チック・コリアの「Children's Songs」を聴きながら、珈琲を飲む。

 

Children's Songs: Touchstones Series (Dig)

Children's Songs: Touchstones Series (Dig)

  • アーティスト:Corea, Chick
  • 発売日: 2008/09/30
  • メディア: CD
 

 

まあ、終日なにもやらなくても良いかな、って気分になる。

 

 

 

アーサー・C・クラークの短編集をずっと読んでいる。

 

 

タイトルにもなっている「太陽系最後の日」を初めて読んだのは、中学2年の夏休み。

中川くんというSF好き&とてもスケベな友人に借りた。

とんでもなく暑い日だったのだが、読み終わるまで暑さはまったく感じなかった。

そして、読み終わったときには、りっぱなSFファンがひとり出来上がったいたのである。

 

 いったい誰の責任なのか? 三日間というもの、その疑問がアヴェロンの脳髄を去らなかった。そして答えは、いまだに見つかっていない。もっと文明度の低い、あるいはもっと感受性の鈍い種族の出身であれば、そんな疑問に心をさいなまれることもなく、運命のなすことはだれの責任でもないのだ、といいきって納得していただろう。

 

クラーク初期の傑作は、こういう一節で始まる。

アヴェロンというのは、自ら大宇宙の貴族を任じている種族のひとりである。

いま、あと数時間で新星爆発を起こしてしまうある恒星系に向かって船(S9000号)を急がせている。

その太陽の第三惑星には、知的生命体が存在するらしいのである。

 

 われわれはいま、ある恒星に近づいており、それは新星と化そうとしている。爆発は七時間後に起きるから、一時間の誤差を見こむと、探検に残されたのは、最大でわずか四時間ということになる。破滅に瀕している星系には十個の惑星があり――その三番めには文明が存在する。その事実が発見されたのは、ほんの数日前にすぎない。その悲運の種族と接触し、可能であれば、その成員の一部を救出するのが、われわれに課せられた悲しむべき任務である。

 

その悲運の種族とは、もちろん地球人類のことである。

アヴェロンたちが訪れたとき、すでに地球の海は太陽の熱によって沸き立ち、森林は焼き尽くされ、都市は破壊され、生命の姿はどこにもなかった。

アヴェロンたちの到着は、遅すぎたのだ。

 

 アヴェロンは、この世界で生命を見つける望みをすっかり捨てていた。S九〇〇〇号は、一ヶ所に長くとどまらず、注意を惹きつけるために、たびたび降下しながら惑星を半周した。反応は皆無だった。地球は完全に死に絶えているようだった。もし住民が生き残っているとしても、救いの手の届かない地下の深みに隠れているにちがいない、とアルヴェロンは思った。

 

ひとつの知的生命を救えなかった後悔を抱きながら、S9000号は地球を離れる。

しかし、謎が残る。

地球に残された電波塔が、宇宙のどこかに向けて地球終焉の様子を発信し続けているようなのである。

いったい誰に向けて送信しているのか…?

S9000号は、謎を解明するために、電波が送信されている方向へと舵をきる。

やがてアヴェロンたちは、自分たちが目にした事実に驚愕することになる…。

 

ラストは書かないが、いかにもクラークらしいラスト。

読み終わったあと、興奮冷めやらぬ私は、さっそく中川くんに電話。

1時間ほど、クラークがいかに凄い作家かというレクチャーを受けたあと、クラークの「地球幼年期の終わり」とアシモフの「銀河帝国の興亡」を借りることになった。

まあ、ついでに(どうしても借りてくれと言うので、しかたなく)、平凡パンチも何冊か借りたのだが、それはまた別の話だ。

 

 

Netflix で『最後の追跡』を観る。

舞台はテキサス。

貧しく、荒涼とした街の風景をカメラが映していく。

現代版西部劇と言った感じだ。

農場を守るために銀行強盗を繰り返す兄弟(クリス・パインベン・フォスター)。

それを追うのが、引退間近のテキサス・レンジャー(ジェフ・ブリッジス!)とその相棒。

主要な登場人物はこの4人だけで、物語りもきわめてシンプルなのだが、観始めると目が離せなくなる。

 

脚本が、『ウィンド・リバー』のテイラー・シェリダンなので、かなり暗い感じの作品かなあと、少しびびりながら観たのだが、それほどでもなかった(暗い映画は苦手なのだ)。

ラストの余韻…。

音楽も良い。

 

 

 

 

なんだよ、全裸ひとり旅って(笑)


▶いつものように5時過ぎに起床。

いつものように蕎麦(乾麺)を50g食べて、いつものように出勤。

 

 

▶電車の中で、Ed Rush & Optical の「Wormhole」。

むかしはウルサイと感じた類いの音楽だが、いまは気持ち良いな。

電車の中で踊りだしたりはしないけどね。

身体は、1センチほど左右に揺れるが(笑。キモイ)。

 

Wormhole

Wormhole

 

 


Ed Rush & Optical - Funktion [V Recordings]

 

こういう音楽は、むかしのサイレント映画(「メトロポリス」とか「ノスフェラトゥ」とか)を観るときに流すと、なかなか良い感じになる。

 サイレント映画に付いているクラシック音楽を、なんかうるさいなぁと思ってるひとにはオススメ。

 

 

▶仕事帰りに、図書館。

この配置は、偶然なのか、それとも図書館員の粋なはからいなのか?

 

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ブルガリアはドラキュラ伯爵の故郷なり。

 

 

Amazon Primeフランク・キャプラ監督の名作『或る夜の出来事』を観る。

1934年制作。ラブコメの古典。

アカデミー賞で5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優集、脚色賞)を独占。

 

或る夜の出来事(字幕版)

或る夜の出来事(字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

父親と喧嘩して家を飛び出した(正確には船だが)勝気な令嬢が、失業中の新聞記者と偶然知り合い、口喧嘩をしながらも一緒に旅をすることになる。

とうぜん魅かれ合うことになるのだが、ふたりとも意地っ張りで、なかなか好きだとは言えない。

まあ、最後には結ばれてめでたしめでたしとなる。

 

世間知らずの令嬢と新聞記者の組み合わせって「ローマの休日」だよなあ。

ラストちかく、ヴァージンロードを歩く途中で婚約者を捨てて、愛する人のもとへ走るってのは、「卒業」だよなあ。

とか、いろいろパクられてるのかな?

って思いながら観た。

 

若い頃いちど観ていて、そのときはたいして面白いとは思わなかったのだが、今回は素直に面白いと感じた。

若い頃は、まったくひねりのない素直なストーリー展開が気に入らなかったのかも知れない。

若いってのは、なにかと面倒くさいな。

 

 

▶職場の休憩室に転がっていた雑誌。

 

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なんだよ、全裸ひとり旅って(笑)。

 

 

岩波新書とか中公新書とか、そういう新書1冊読むこともしない(あるいは読むことができない)低教養の奴らが、もっともらしいことを大声でわめき散らしているのが、いまのTwitterの世界なんだな。

ということが、わかってきた。

と、かるく毒を吐いて、今日は早めに寝るのだ。