単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『ムンバイのバイオリン弾き』を観る。そして、「右に歩く」人たち。

 

▶ 『ムンバイのバイオリン弾き』を観る。

2016年制作のインド映画。

Netflix のオリジナル作品ではないが、いまのところNetflixでしか観れないみたい。

 

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主人公は、冴えないバイオリン弾き。

映画の劇伴録音が主な仕事である。

狭いアパートで妻と二人暮らし。

妻が出かけた後、食器を洗い、洗濯物をして、壁のゴキブリを叩き殺し、仕事へ出かける。

 

ちいさなスタジオでの仕事を終えて駅で電車を待っていると、向かいのホームにいる男が、じっとこちらを見ていることに気づく。

けして視線をはずそうとはせず、電車が来てもそれに乗ろうともせず、ただじっと見つめてくる…。

気味が悪くなった主人公は、売店の陰に隠れて様子をうかがう。

電車が通り過ぎたあと、謎の男の姿が消えたのでほっとしたのだが、こんどはいきなり目のまえに現われる。

そして、「わたしのところで仕事をしないか?」と誘ってくる。

提示されたギャラは、通常の2倍だ。

妻に相談しようと電話をかけるがつながらず、迷った末に男の誘いにのって一緒の電車に乗ることにする。

電車のなかで、仕事の内容についていろいろ質問するのだが、男は何ひとつまんぞくに答えようとしない。

怪しく、不穏な空気が漂う…。

ここまでで開始から約30分…事件らしい事件は起きず、いささか長いが、このあとラストまでは目が離せなくなり、息をつめて観てしまった。

あまりに意外な展開に驚く。

主人公の奏でるバイオリンが美しく哀しい。

ラストは、少し謎だが、奇妙な味が漂っていて悪くない。

 

全編70分と短い映画だけど、うーん、インド映画もここまで来たか…って感じの作品だった。

 

 

 

▶『ムンバイのバイオリン弾き』のなかで、ムンバイ駅のアナウンスが流れるんだけど、「ホームを移動するときは、線路を横切らずに階段をご利用ください」と言ってて、笑った。

インドに行ったひとはわかると思うが、かれらは平気で線路に飛び降りてホームを移動するのだ。

危険に対するハードルが、日本人と比べるとめちゃくちゃ低い。

 

 

 

▶「右に歩く」というモーションデータだけを使って、世界中の3Dアーティストが作品を作った。

それぞれ個性があって、面白い。

 


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ディストピアっぽいものが多いなあ。