▶眠るのを諦め、午前3時過ぎに寝床から出る。
寒い。
なおさら眠れなくなるだろうなぁ、と思いつつ、まあどうせ眠れないしな、と思いっ切り濃い珈琲を淹れて飲む。
美味い。
▶映画を1本。
ジョーダン・ピール監督の最新作『NOPE ノープ』
面白かった。
前半はひたすら不穏な空気が漂い、後半はややB級ノリのSF作品。
前半『未知との遭遇』、後半『XXX』(←ネタバレになるので書かないけど)。
“人種差別”とか“映画と資本主義社会”とか“映画を撮ることの本質”とか、まあいろんな面倒くさいテーマを、エンタメ作品のなかに軽々と入れ込んでいる。
が、そんな面倒くさいことは、どーでも良い。
面白ければ、それで良い。
『NOPE』を観て、コナン・ドイルの『大空の恐怖』と言う短篇を思いだした。
小学校の頃読んで、マジで怖くて泣きそうになった。
『NOPE』に出て来たアイツと似たものが襲ってくる話。
▶妻が起きてきて、久しぶりにふたりでミスドに行く。
わたしの座った席の目の前に色とりどりのドーナツが並んだケースがあって、その上に大きいディスプレイが3つあり、ドーナツの制作過程の映像がずっと流れている。
ハニーディップを食べながら、その映像をずっと見ていた。
基本的な作り方は皆おなじである。
卵をガシガシ混ぜ、粉をぶち込んでコネコネし、それをドーナツ成型機に入れ、出てきたものをたっぷりの油に落として揚げる。
それに砂糖や甘いクリームをまぶして出来上がり。
成型機から、ドーナツの元がポンデリングやフレンチクルーラーの形となって、ウニッと出てくるところは見ていて飽きない。
が、もんだいは、そいつがダイブする油のプールだ。
油は透明度が高くてすごくきれいなのだが、うーん、あれってザ・カロリーだよなぁ…。
その上にトドメを刺すように砂糖とクリーム…。
いくらサンドイッチマン伊達が「ドーナツはゼロの形をしてるから、カロリーはゼロです」「砂糖は白いでしょ?白いものはカロリーゼロなんですよ」と言っても、無理筋だよなぁ。
カロリーを気にするならドーナツなんて食べるな、って話ではあるのだが。
ハニーディップの次にフレンチクルーラーを手に取りながら、少しだけ躊躇してしまう。
まっ、美味しいので食べちゃうんだけど。
▶昼は、あっさりと蕎麦にして、ドーナツを3個も食べた罪悪感を軽減することに努める。
▶暇なので(いつも暇)、映画をもう1本。
『つばさ』。
1927年制作のアメリカ映画。
モノクロ、サイレント。
第1回アカデミー賞の最優秀作品賞を獲得した作品である。
監督は、ウィリアム・A・ウェルマン(スピルバーグが尊敬してるそう)。
第一次世界大戦に戦闘機パイロットとして参戦するふたりの若者が主人公。
題材から戦意高揚感いっぱいの映画かと思ったら、思ったよりコメディ寄りの作品だった。
ふたりの青年にはそれぞれ恋人がいて、ラブコメの要素もある。
空戦シーンは、サイレント時代とは思えないほどの迫力である。
背後から撃たれたパイロットが血反吐を吐きながら絶命し、飛行機がきりもり状態で雲を突き抜けて落ちていく…。
とうじは、とうぜんCGもないわけで、すべて実機を飛ばして撮影している。
監督のウェルマン自身が第一次世界大戦で戦闘機乗りとして活躍しており、撮影監督も同じくパイロットだったらしい。
主人公の青年を演じたふたりもスタントを使わず自分で飛行機を飛ばしている。
(主役のジャックを演じたチャールズ・“バディ”・ロジャーズは、のちの第二次世界大戦では飛行訓練教官をやっている)
この映画が作られた1927年と言えば、第一次世界大戦が終結してからまだ10年しか経っていない。
多くの人のこころに戦争の記憶が生々しく残っていたのだろう。
その記憶が、戦闘場面のリアルさを生んでいるに違いない。
ちなみに、わたしが観た“吹替版”と言うのは、活弁付きと言うことで、そのせいで余計コミカルな雰囲気になっている。
コミカルが嫌なひとは、ぜひ字幕版で。
今年は、アカデミー賞の最優秀作品賞を獲得した作品を(できれば)ぜんぶ観ようと思っていて、これがその1本目。
いかにも「アカデミー賞受賞」って感じの大作だった。
▶ジェフ・ベックの『Blow by Blow』(1975)を聴く。
はじめて聴いたのが高校3年の夏休みで、友人の家で、かなりでかい音で聴いた。
友人がお寺のドラ息子だったので、本堂で大音量で聴いたのだ。
(バチ当たりなことです)
衝撃だったな。
A面を聴き終わったあと、しばらく呆然としていた。
とうぜんB面も聴いたはずなのだが、その記憶はない。
A面だけでお腹いっぱいだったのかも知れない。
合掌。