▶5時起床。
いつものように熱くて苦い珈琲を飲みながら、しばらくぼんやりと過ごす。
この“しばらく”は、10分くらいのときもあるし、気がつけば1時間ちかく過ぎているときもある。
ぼんやりしているときは、文字通りぼんやりしているだけで、なにも考えていない。
“瞑想”などと言う高尚なものではない。
ほんとうになにも考えず、時間の経過も意識することなく、ただただ無為な時間を過ごしている。
井伏鱒二だったか、老人になると薄暮のような時間が増え、それが死への恐怖を和らげている的なことを書いていたが、あるいはそうなのかも知れない。
死への恐怖など、まだリアルに感じたことはないのだが。
ぼんやりと過ごすのは、いまはまだ起き抜けの時間だけだが、そのうち昼間も、なにをするでもなくぼんやりと過ごすようになるのだろう。
本格的な老人への道程も、なかなかたいへんだな。
▶なんだか幸せな気分になる映画が観たくなり、久しぶりにビリー・ワイルダー監督の『アパートの鍵貸します』を観る。
公開が1960年で、第33回アカデミー賞で作品賞や監督賞など5部門を受賞している。
わたしは、同時にノミネートされていたヒッチコックの『サイコ』の方が映画的には優れていると思っているが、まあ時の勢いみたいなものが味方したのかな(アカデミー賞ってそんなかんじがある)。
なんど観ても小道具の使い方に感心する。
鏡の割れたコンパクト、トランプ、シャンパン、テニスラケット、拳銃、クリスマスケーキ、などなど…すべての小道具がストーリーを転がすための伏線になっていて、その名人芸にため息が出る。
ヒロイン役のシャーリン・マクレーン、めっちゃ可愛い。
すごい美人ってわけではないのだが、とんでもなく魅力的だ。
実弟がウォーレン・ビーティってのも、何気に面白い。
ラストの「黙って配って(Shut up and deal)」がサイコーである。
カードゲームをしながら、男(ジャック・レモン)が「君を愛してる」と直接的な愛の告白をしたときに、シャーリーが微笑みながら言うセリフである。
この場面で映画は終わる。
いかにもビリー・ワイルダーらしく、奥ゆかしい。
観終わって、幸せな気分になった。
▶昼食を食べて、散歩に出るつもりが、急激に眠くなり夕方まで寝てしまう。
不眠症気味のわたしにとって、睡魔はとても貴重なので、それがどういうタイミングで襲って来ようと、素直に眠ることにしているのだ。
5時頃、のそのそと起き出して、少し遅い散歩に出る。
ふと歩く先を見ると、4階建てのアパートの少し上あたりに大きな月がのぼっていた。
満月である。
スマホで撮ろうとしたのだが、眼で見たようには撮れなかった。
ぶらぶらと根津神社あたりまで歩き、新しく開店したカレー屋で美味しいカレーを食べて帰る。
▶夜遅くなっても眠くならない…。
まあ、昼間寝てしまったからなw…しかたない。
だらだらとYouTubeで競馬の予想動画など見て、眠りが訪れてくれるのを待つことにしよう。
が、睡魔さんは昼間いちどわたしのところに訪れているので、日付が変わるまではやって来ないだろうなぁ…。