単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

ありふれた日常 #30 / 観ていて幸せな気分になる

 

▶午後10時に床についたのだが、なかなか寝付くことができず、寝床のなかで4時間ほど悶々とぐずりたおして(赤ちゃん?)、けっきょく午前2時過ぎに眠ることを諦める。

起きても、頭はボーッとしているので、そういうときはボーッとすることしかできず、ただ時間が過ぎ去るのをぼんやりと眺めて過ごす。

“時間が過ぎ去るのをぼんやりと眺める”というのは、わかりにくい表現かもしれないが、ほんとうに、目の前を時間の川がゆっくりと流れていて、それを眺めているような感覚なのである。

いけないとはわかっていても、どうせ眠れないからなと言い訳しつつ、熱くて苦い珈琲を飲む。

 

ボーッとした頭では本など読めないので、なにも考えずにサクッと観れる映画を探すが、どれを観ようかなと配信サイトを探している間に1時間ほど経ってしまう。

その後、YouTubeで新作映画の予告編をたくさん見て、気がついたらさらに1時間経っている…。

北野武監督の新作『首』とか、『砂の惑星 Part2』とか、『イコライザー3』とか、『TAR』とか、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』とか、ノーラン監督の新作とか…、ぜんぶ面白そうでワクワクする。

 

で、けっきょくAmazon Prime で『AIR/エア』を観る。


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バスケシューズの売り上げでは、アディダスコンバースに大きく水をあけられ、バスケ部門存続の危機にあったナイキが、いかにしてマイケル・ジョーダンと言う逸材を獲得し、“エア・ジョーダン”と言う爆発的ヒット商品を世にだしたか…。

いやあ、サクッと面白かった。

とうぜんナイキのロゴマークとか、エア・ジョーダンとかがばんばん画面に出てくるのだけど、ナイキの許諾をとってないって言うのが、いかにもアメリカらしい。

 

ジョーダンの母親役のヴィオラ・デイヴィスの存在感は凄い。

彼女が出ていなければ、これほどキレのある作品にはならなかった気がする。

 

それにしても、マット・デイモンの腹はちょっとやばいw

ジェイソン・ボーン・シリーズの新作より後に撮影したんだろうか…?。

 

 

▶映画を観たあと、再びぼんやりしていると、妻が起きてきたので一緒に朝食。

いつものかけ蕎麦に、今朝は笹かまをのっける。

食べ終わったあとも、まったく眠くならない。

が、頭がスキッと晴れ渡っているわけではないので、何をやるにしても集中力が続かない。

と言っても、やることじたいがさほど無いので、たいして困りはしないのだが。

 

 

▶『ダゲール街の人々』(1975)を観る。

アニエス・ヴァルダ監督の傑作ドキュメンタリー。


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世界初の写真撮影法であるダゲレオタイプの生みの親、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが住んでいたことで有名なダゲール街(もちろんダゲールにちなんで名前がつけられている)。

パリの典型的な下町であるこの街の商店とそれを営む人々をカメラは映していく。

パン屋、アコーディオン売店、香水店、床屋、肉屋、時計屋、仕立屋…などなど。

長くこの街に住み続けたアニエス・ヴァルダのカメラは、街への愛情に満ちあふれていて、観ていて幸せな気分になる。

70年代中頃という時代のせいもあるのだろうか、街にはゆったりとした時間が流れていて、「こういう街で暮らしてみたいなぁ」と思わせる。

 

この映画に登場した人たちのほとんどは、すでにこの世にいないだろう。

彼らが生きた街も、いまではすっかり様変わりしている。

「こういう街で暮らしてみたいなぁ」と言う、わたしの想いだけが、ぼんやりとした雲のようにふわふわと浮かんでいる。

 

なんと言えば良いのか、巧い言葉が見つからないのだが…。

映画が、ある街の、ある時代の、そこに生きる人々の姿を永遠に記録することの凄さ。

その瞬間の空気感すら閉じ込めてしまうことの凄さ。

たんなる記録ではなく、それ以上のなにか。

 

 

▶いかん、すっかり目が覚めてしまった…。