単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

『メアリー&マックス』(2009)を観る

▶『メアリー&マックス』を観る。

2009年制作のオーストラリア映画

クレイアニメ

 

メアリー&マックス(字幕版)

メアリー&マックス(字幕版)

  • 発売日: 2015/03/27
  • メディア: Prime Video
 

 

オーストラリア、メルボルンの郊外にひとりの少女が両親と暮らしていた。

メアリー・ディンクル、8歳。

冒頭、少女が窓から外を覗いている場面で、ナレーションがかぶる。

「メアリーの目は、泥の水たまり色。ひたいのアザはウンチの色だ」

ひどいな “笑”。

 

父親は工場でティーバッグを作っていて、拾ってきた鳥の死骸で剥製を作るのが趣味だ。

母親は、アル中で万引き癖がある。

「あんたは、たまたま生まれた子よ」と、メアリーは母親に言われて育った。

メアリーには友達はいない。

学校ではいじめられている。

最悪である。

 

ある日、メアリーは、ニューヨークの電話帳から適当に選んだ名前に手紙を出す。

相手の名前は、マックス・ホロウィッツ。

手紙は海を越えて、マックスの元に届く。

かれもまた孤独な人間だった。

 

マックスは、44歳で独身、190cm/160kg、ニューヨークのちいさな部屋にひとりで住んでいる。

アスペルガー症候群を患っており、人とのコミュニケーションが苦手だ。

相手の表情が読めず、表情と意味との対照表を作ったりしている。

過食症でもあり、かなり肥満している。

にもかかわらずチョコドッグ(ホットドッグのウィンナーの代わりに板チョコが挟んである。マックスのオリジナル)が大好きだ。

突発的な、予期せぬことが起きるとパニックになり、部屋の隅で震えて過ごす。

そしてチョコドッグを大量に食べる。

メアリーからの手紙が突然届いたときも、部屋の隅で震えた。

18時間窓の外を見続けたあと、かれはメアリーに返事を出そうと決心する…。

 

こうして、孤独な者どうしの文通が始まる。

ふたりにとって、お互いは、アニメのキャラや空想の友人やペット以外で、初めてできた人間の友達であった。

 

ここから温かな友情物語がはじまるのかな、と思って観てると、話はとんでもなく重く暗い方向へとすすんでいく。

メアリーの行動により、ふたりの友情にひびが入る。

メアリーは、どん底の気分を味わい、自殺すら考えるようになる。

なぜそうなったかは書かないが、観ていると、「まぁ、そうなりますよねぇ」と思ってしまう。

 

しかし、いくら重く暗い話ではあっても、粘土の人形がうにゃうにゃ動いているので、どこか可愛くいじらしく、生の人間が演じるよりも、重さや暗さを受け入れやすいと言うか、それほど沈鬱にならずに観ていられる。

ラストは、感動的だ。

まさか、粘土の人形に泣かされるとは、思ってもみなかった。

 

わたしは、最初吹き替えで観て、2回目を字幕で観た(Amazon Prime Video には字幕版しかないが)。

ナレーションの声は吹き替えの方が好き。

字幕版のマックスの声を、フィリップ・シーモア・ホフマンがやっていて、これはこれで、なんだか切ない。

 

傷つきやすい魂が傷つき、しかし、やがて救いが訪れ、傷ついた魂が癒される。

そういうお話。

どこにでも転がっているようなお話ではないが、いまでも、世界のどこかで起こっているお話のような気もする。

 

ちかくに板チョコ、あるいは甘いクッキーなどを置いてから観始めるべし。

 

 

 

Hayden の『Everything I Long For』(1995) を聴く。

 

Everything I Long for (20th Anniversary Edition)

Everything I Long for (20th Anniversary Edition)

  • 発売日: 2016/04/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

 Hayden (ヘイデン)は、カナダのミュージシャン。

これはデビュー・アルバム。

 

 


www.youtube.com

 

冒頭の曲。

代表曲でもある。

心つかまれる。

 

 

 

▶このところ身体がだるい。

まるで水の中を歩いている感じで、身体が重い。

動くのが億劫。

なにをしてもすぐに疲れて動けなくなる。

春先と秋口には、10日ほどこういう状態が続く。

むかしからのことで、わたしはかってに、“Spring Disorder” “Autumn Disorder” と呼んでいる。

原因は謎。

そのうち治る。

妻も、「今年も来たね」とか言って、たいして心配はしていない。

 

わたしも心配はしてないのだが、いささか辛いのだ。