単純な生活

映画・音楽・読書について、だらだらと書いている

ありふれた日常 #17 / 谷中七福神巡り

 

▶元旦である。

いつも通り午前4時起床。

今年一杯目の珈琲を淹れ、年明けにはかならず読むことにしているエリ・ヴィーゼルの『夜』を静かに読む。

 

ホロコースト文学の傑作である。

きわめて愚かしく残酷なことが、きわめて美しく崇高な文章で綴られている。

人間の悪と美を同時に体験させられているかんじになり、読んでいると頭が(と言うか魂が)ぐらぐらとしてくる。

 

 

▶妻とお雑煮を食べる。

わが家のお雑煮は、何年か前からずっと陳健一レシピのピリ辛雑煮である。

去年は、妻が「あなたの故郷のお雑煮がたべてみたい」と言うので、白味噌仕立てに餡餅を入れるというトリッキーな雑煮を作ったのだが、食べ慣れているはずのわたしにさえ微妙な味だった。

故郷は遠くなりにけり。

 

 

▶谷中七福神巡りに出る。

田端の東覚寺(福禄寿)から、日暮里の青雲寺(恵比寿)、日暮里の修性院(布袋尊)、谷中の長安寺(寿老人)、谷中の天王寺毘沙門天)、上野の護國院(大黒天)、上野の不忍池(弁財天)と回るコースである。

お参りをしながら、だらだらと歩いて3時間ほど。

 

歩いている途中、谷中の裏路地でちょっと変わった家を見つける。

道に沿ってカーブしており、まるで電車のような家。

誰も住んでいないようだった。

 

不忍池の弁財天に参ったあと、御徒町の居酒屋で一杯。

(わたしは下戸なので、一杯やるのは妻なのだが)

 

写真に撮るほどの料理ではないなw

 

わたしたちが座った席のとなりのテーブルで、初老の男3人が楽しそうに飲んでいた。

大人になって、ああ言う風に楽しそうに語り合える友人がいると言うのは、すばらしく幸せなことだなと、そういう友人のいないわたしは少し羨ましく思った。

 

上野松坂屋でカステラの切れ端など買って、バスで帰宅。

「めずらしく、正月らしい1日をすごしたわね」と妻が笑う。

 

 

▶帰宅後、爆睡。

と言っても2時間ほど。

しかし、何日かぶりにぐっすり眠れた。

さっそく七福神のご利益か?

 

 

▶妻が暮れに作った筑前煮で軽く夕食。

食後、映画を1本。

ハリー・ポッターと賢者の石

 

公開当時にいちど観ているが、ストーリーの細かい部分はほぼ忘れている。

ハリーもハーマイオニーも可愛いが、こんかい観て良いなあと思ったのはロンである。

幼くしてすでに伝説を身にまとっているハリーや、美人で優等生のハーマイオニーとは違って、ロンはいつもどこか自信なさげである。

その困り顔がたまらなく愛おしい。

シリーズを最後まで観たひとは、やがてロンには、とんでもない幸運が訪れることを知っているので、ロンがいくら困り顔をしても、「いやいやロンくん、きみにはちかい将来すごい幸運が訪れるんだぞ」と思い、ついニヤニヤしてしまう。

 

 

▶寝る前の1枚。


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二十歳の頃、背伸びをして渋谷のジャズ喫茶(店名は忘れた)に入った。

紫煙にけぶる店内に流れていたのが、このアルバムである。

マイルス・デイヴィス(TP)、キャノンボール・アダレイ(AS)、ハンク・ジョーンズ(P)、サム・ジョーンズ(B)という豪華メンバー。

店の壁にリクエストを書く黒板があって、そこに「Now Playing Cannonball Adderley」とあったので、マイルス・デイヴィスのトランペットをキャノンボール・アダレーの演奏だと思い込み、ふむふむと頷いていたわたし…w

可愛い思い出である。

思い出を噛みしめていたら、眠れなくなってしまった…。